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闇に咲く華

第4章 番外編


2017ホラー企画:昴

「おい愚図、報告書は?書けって言ったやつはまだか?はぁ?俺の仕事だろうって?俺は忙しいんだから部下のお前が書け、何だと、口答えするな!」

織田に来てから間もない頃だったかな、俺は豊臣から来て直ぐお市様付になったから人間関係とか完全に把握してなかったけど
「あ、こいつは嫌な奴」だって見れば分かるくらいの態度だった。
直属の部下を己の感情のままにこき使ってたのを偶然見かけて眉間に皺が寄る。
ここの忍の頂点は黒羽さんと雹牙さんだって教えて貰ったから、下の忍にも色んな奴がいるんだなって
こういうのお市様が見たら悲しい顔するだろうなって思いながら、目に入る前に黒羽さんと雹牙さんには報告したほうがいいか迷った。

気が弱そうなその男の部下は、ほんとに忍かってくらいの気の弱さで
その日時間を貰って城下に繰り出した時に、たまたま非番であろうその男を見かけた。

「あれ、あんた」
「あ、なたは、昴様?」
「俺の事知ってるの?俺未だ新人なのに」

顔を見た瞬間に名前を出されて、どうしてかって聞いたらお市様の部下の忍は有名なんだって。それ、忍としてどうなの?と思ったけどお市様の行動が派手なので仕方がないそうだ。うん、俺も納得してしまった
この前酷くいびられてたねって言えば小さく「見られてましたか」って

「いつもあんな感じなの?この前は殴られてたよね」
「まだマシな方です…酷い時は一晩中殴られてますから」
「…それで上司の男って仕事してるの?」
「どうなんでしょうね、私は言われた物をお渡ししてるので」

お市様の前だと丁寧口調だけど、素になると結構適当ですよっと。
聞いた状況に眉間に皺を寄せてたら心配して下さってありがとうございますって。いやあ、俺も前仕えてたとこは割と酷かったから今の状況に慣れると差に驚くけど。
ああ、お市様こういうの嫌いだよね、絶対上司の男、黒羽さんと雹牙さんに良い顔してるよ。
この不憫な男なんとか出来ないのかなって、お市様とか、黒羽さんと雹牙さんにチクったら救われるんじゃないかって柄にもなく真剣に考えて
夜になってから思い切って報告してみたら、雹牙さんが眉間に皺を寄せたまま首を傾げる
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