第4章 番外編
戦に敗れた源頼朝が逃げ込んだ場所で非常に多く地蔵が置かれているそうな。得に首なしの地蔵を見てしまった者には死が訪れると言われて昼間はともかく夜はおっかないみたいね
でも実際居るのだろうか、私は行った事はないのだけれども。女の子について来い、と言われたけど今から相模まで?あ、私の婆娑羅で一瞬か。
2人で着いた先は真っ暗で、小さな手を掴んでるけど。ゆっくり手を引かれ止まった先で、月明りに照らされる地蔵の数にほうっと息を吐く。
『怖がらぬか』
「うん、大丈夫」
『あの娘はここに潜む"怠惰"に目を付けられた様じゃの、人1倍元気な女子故に、真逆の奴から見たら忌々しくも美味そうだからのう
精気を喰らい殺す積もりじゃろうて』
怠惰?首を傾げれば怠けの神だと薄く笑う。
ゴトリと何か固いものが動く音、その方向に目を向ければ、ゴトリ、ゴトリと物音を立てて此方の方に歩いて来たのは首の無い地蔵。ゴトリ、ゴトリ、一歩下がると一歩近づく。
顔が無いのに此方を見ているようで薄気味悪い。
呵々と笑った女の子は首の部分に触れるとピタリと止まった。
『うぬが喰ってる娘は解放してやれ』
代わりにこの娘をくれてやろう。
目を見開いて、女の子を見れば口元に人差し指を当て、闇の手で地蔵を掴み力を込めて力を吸い取ればまるで土が手の中で砕ける様に粉々になる
「これ」
『思ったよりも移り変わりが早かったの』
ああ、あの女中さんへの力を離す為に私を食えと言ったんだ。切り替えて私に憑りつく前に無力化すれば私にも女中さんへの害も消えるって…
この子私を囮にしたのね、可愛い顔して言う事が怖かったわ。
『うぬを食わせれば魔王に消されるからの』
「事前に言って欲しかった」
次があったら事前に言うてやろ、美しい笑みを浮かべた少女に「帰るか」と手を引かれ、城に戻って女中さんを看病すればあっさり1日で治ったとか。ぶっ飛び過ぎる事案に頭を抱えた。神様って分からない。