第4章 番外編
「こんにちは、先生ここの皆さんの読み書きはどう?」
「姫様、毛利様、尼子様。そうですね、近隣の村からも熱心に来て下さってるので読み書きの程は心配は御座いませんよ」
「良かった」
「ああ、ですが…」
「?」
少し、困った様に笑う先生に、こてりと首を傾げれば。字が書ける様になった者からですよと、小さな箱を渡された。
「中を」
「手紙?」
「姫様は技術指南で村に訪れたりなさっていますよね」
ごそごそと、手紙を開けて読んでいけば、先日は来て下さってありがとうございますと感謝を述べる言葉ばかり書いてあり、何だか嬉しくて恥ずかしくて思わず俯く。
「市、泣くでない」
「泣いてないもん」
「ほー、お前は民に愛されてんなあ」
「縁談は来ぬのにな」
「ちょっと黙って」
くすくすと、私の様子を見て笑う先生に、今日は寺子屋の裏に笹を飾ってるので良かったら短冊に願いを書いてはどうですかと1枚渡された。
ええっと、何て書こうか。筆と紙を持ったまま固まってると友人達も書くと先生から短冊を受け取っていた。
「…"友の市に縁談が来ますように?"」
「"尾張の姫に恋文の1通でも来ますように"」
「元就?晴久?」
アホな事書かないで下さい、ここの生徒さんも見るってのにもおおおおお
ええい、飾らない!しかも微妙に目立つとこに括らないで!手を合わせないの、まったくもー!