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闇に咲く華

第4章 番外編


2016ハロウィン:市

噎せる様な甘い香りと、甘くて一口食べればじゅるりと溢れる果汁に果肉

食べても食べても満足できない、お腹いっぱいになるまで食べたい、美味しい

いつからだっけ、こんな夢を見始めたのは
うすらと目を開けると誰かが顔を覗かせてるけと

誰でもいいや、目を閉じると私の前にまたあのあまぁくて美味しい果実が転がる

その瞬間、再び夢中になってこの果実を貪っていた。

「んー」
「一瞬瞼が開きましたね」
「姫様・・・どうか!娘を、どうか!」

庄屋の娘が病気で目を覚まさなくなったと聞き。
状態を見にきてみて驚いた。
身体から木の蔦が無数に伸びて、まるでそのまま食われて栄養になってしまのかと思うくらい。

触ってみたけど特に感染はしない。矢鱈に触るなと説教されたけど
これは呪った元凶を潰さねばならん気がして頭痛い

「何の木だろう・・・分かる?」
「枝で判断するのは難しいものがありますが」
「ヒノキ、ではないか?」

ああ、そっか言われて納得
この国、ヒノキで船作ったりしてるから
でもそれだと答えにならないよね。ここまで呪われる事案がない

城に戻ってみんなで会議
兄さま義姉さま光秀、うちの保護者の3人で
何とかならないかなっ!

「市ィ」
「はい!兄さま」

よしよしと撫でられながら兄さまに引っ付くと
お耳でボソボソ、ああー、その可能性もあったなぁ

「昴、つい最近の近くで死体が埋まってた場所覚えてる?」
「覚えてますけど、木の根本に埋められてたやつですよね」
「その木、婆娑羅で焼いて燃えカス持ってきてね」
「え、あ了解です」

昴が帰ってくる間に再び庄屋にて娘さんから生えている枝を肌ギリギリまでカットして

はい、男共出ていく出ていく!
マッサージするように、木の灰を塗りたくっていくと甲高い声が脳に響く

「お市様」
「うん、大丈夫よ」

呪いの木の、本体が焼き殺されたのだと知った呪いの類いの木は

取りつかれた彼女の叫びで

一瞬で灰に成っていった。
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