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闇に咲く華

第4章 番外編


『市ね、ずっと貴女の中で貴女の事を見てたの』
「え」
『頑張ってるのね、市には真似できない』
「いやいやいやいや、私こそ貴女の身体で好き勝手やってごめん」
『ううん、いいの』

もう、お別れだから…
寂しく笑うお市ちゃんに「へ?!」と
戸惑いながらその意味を聞こうとすると抱き締められ

良い匂い…じゃなくて。

『長く留めてごめんなさい、市はもう消えるから。楽しかったわ、ありがとう』

ふんわりと、正面から微笑まれ「お迎えが来るね」の言葉に
此方に来る存在は勘違いでは無かったのか

覇気をまき散らし闇の向こうから歩いて来るのは兄さまと黒羽。

姿を確認すると、原作のお市ちゃんの拘束が解け。
2人にごめんなさい、と頭を下げた

『ごめんなさい、兄さま、黒羽さま』
「是非も無しぃ」

貴女もごめんね。頑張ってね。
耳元でこそっと耳打ちされて、お互いで微笑むと
本物のお市さまは闇に呑まれて私の前から消えてしまった。

「姫様…お怪我は?」
「無いよ、ありがとう」

兄さまも迎えに来て下さってありがとう
差し伸べられた兄さまの手を掴んで。

心配したと抱き締められて、私の中から抜け出たお市様の事を考えると
少し胸が苦しくなって涙が頬を伝う。

「姫様」
「?」
「私は、今の貴女に仕えております。他の方では無く貴女の魂に。それは雹牙も昴も一緒です」

ふっと暗闇の中で見えた微笑みが私を気遣ってくれて

「他の方を主へとして行け、と言われても私達が心の底から仕えるのは貴女だけです」

「だから、貴女は堂々としてこの乱世を引っかき回して下さい」

本当に…皆過保護なんだから

目を覚ました私の横に居たのは大切なお兄ちゃん達で

「市って果報者ね」
「ったく、今回は説教は勘弁してやる」

頭を撫でられながら、少しやつれた3人の頬に手を伸ばした。
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