第4章 番外編
「お前、俺を自分だと言ってるけど嘘だろ。何者だ?」
ピタリ。
自分の姿を模した顔が、表情が止まった
『キヒッ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ』
まるで気が狂った様に笑ったと思ったらボコッボコッと顔が変形し
ああ、此奴か。あの方達に毒を盛れと命じた男
時代の流れに追いつけず、戦の道を選んだ老将
「あんたか、まだ彷徨ってたんだ」
『主をアンタ呼びとは教育が成ってないなぁ?鬼子よ』
「今の俺の主はお市様だ、あんたはもう主じゃないし」
『・・・婆娑羅持ちだと何故言わなかったァ!』
「言ってどうすんの?俺が更にコキ使うの見え見えだもの、同族からも言うなって言われてたし?」
不思議と、化け物になって現れた元主には恐怖の微塵もない
ぐだぐだぐだぐだと未練を吐く老将は恐らく呪う力も残ってない低級霊
さっき少し押された自分が恥ずかしい
懐から、濃姫様から頂いた銃を引き抜き、銃口を化け物の方に向ける
「未練タラタラ?しかも俺に固執する意味がわかんない。だってアンタさ・・・」
俺の兄貴に固執してただろ。俺よりも美しい風貌をした兄貴に。
今はお市様の部下として幸せな日常送ってるのに・・・
ああ、お市様の加護があるから兄貴の方に行けなかったのか
『あの小娘ええええええェ!!!!!』
「俺の主に失礼な発言も目的も、お市様に忠誠を誓った俺達兄弟は絶対に許さない」
せいぜい閻魔様に裁かれて地獄に落ちるんだな。
化け物の周辺に炎を這わせて退路を封じ引き金を引く
ガゥンガゥンガゥン!!
「怨念になってまで付き纏ってくるとは、そう言う輩を"すとーかー"って言うんだっけ?」
さてかーえろ。尾張に向かって再び走る前に
3発の銃弾で息絶えた化け物を一瞥して行った。