第4章 番外編
2016尼子晴久誕生日記念
市に呼ばれて、通されたのいいけどよ。
「はーるーひーさああああああああ!」
「ぐえっ」
廊下の向こうから全力で走ってきた市に突撃されて押し倒された
いらっしゃい!いらっしゃい!と気合いの入った歓迎ぶりだなお前は犬か!!
よっと起き上がってはいはいと
頭をわしわし撫でると気持ち良さそうに目を細める
こうやってると猫みたいなんだがな。
「んで?用事って?」
「晴久、また忘れてるの?」
何だっけ。
本気で聞いてくる市に焦って真剣に考える
あれ、今日何だっけ?
ゴンッと雹牙の奴が盆を俺の頭上に叩き込む
「ハッピーバースデートゥーユー」
「はぴ?」
南蛮語か?こいつも常に市の傍に居るからって
その言葉の並び
聞き覚えあるな小さい頃から!
誕生日によく市が歌う歌だと分かって
「あ、俺の誕生日か!」
「今更気付いたかボケ」
「雹牙・・・」
黒羽の、雹牙を嗜める言葉に安堵する。
雹牙てめえ本当に忍か!
「ありゃ、本気で忘れてたの?」
「おう、雹牙のお陰で思い出した」
雹牙の持ってた盆に茶がのってたので受け取り
市は今日の為にケーキを焼いてくれたらしい
確か南蛮の果物栽培してるって聞いたな
それらしき物が乗ったケーキをフォークで一口大まで切って
「あーん」
「お前それ本気でやってたら怒るぞ」
ばっ!馬鹿かお前!
嫁入り前がんな事すんなと少し叱ったらしょぼんと
ああもう、仕方ねえな!
「あー」
大口開けてやったら嬉しそうにケーキを突っ込んできた。
うん、美味い。
「美味しい?」
「ん?ああ」
「良かった」
嬉しそうにそう言って笑う市に
今年も振り回されそうだなと、ずずずっと茶を飲み干した。
「ありがとな」
素直に礼を述べると背後からの殺気が消える
雹牙こええよ。