第4章 番外編
2015クリスマス
「じんぐるべーる、じんぐるべーる♪鈴がなるぅ~」
主が歌う歌に、顔を上げると雪がちらちら舞っていて
「ああ、もうそんな季節ですか」
「・・・黒羽は市の歌で季節を感じてるの?」
「クリスマスか、年の終わりを感じるな」
雹牙がもう普通にクリスマスって言えてるのが凄いよね
そんな中、今まで大阪の今は亡き、老将に仕えてた昴が顔を上げて首を傾げる
「くりすます、ですか?」
何です?それ、と先輩の忍2人に聞いてみるも
「ああ、お前は初めてだったな」
「後で判りますよ」
「昴は初めてね」
主にも教えて貰えず余計に分からない。
「後日、教えるから我慢してね」
年下(1つだけど)の主に茶色い髪をわしわしと撫でられて。
子供の様に扱われた気がして
ちょっとムッとした。
「主は来ませりクリスマス~♪主は来ませりクリスマス~♪」
お市様のくりすます、の歌?らしいを聞いて
主?自分の主はお市様だが、お市様が主と讃える者がいるのか?
「おや、昴。難しい顔をなさって、どうしました?」
「明智様」
確か長年織田に仕えてる重臣だったなと思い
「明智様、お聞きしてもいいです?」
「? はい、私で良ければ」
くりすます、とは何ですか?と聞いた所で少し後悔した。
明智様がその質問に急に大爆笑し始めました
「ああ、ああそうでした。貴方は初めてですね」
「あ、あの。主の言う"主"とは誰でしょう?」
「そうですね、その者については教えて差し上げましょう」
明智様の部屋に案内され、正座して聞く体勢になるとフフフと笑われて
うう・・・少し、かなりこの場から逃げたい。
「主とは南蛮の、キリスト教の教祖"イエス・キリスト"を指しております」
「? お市様は南蛮の宗教に入れ込んでましたっけ?」
「クリスマス、と言うのはその教主の降誕の日を指してますが、お市様はどちらかと言うと娯楽の方を取り入れておりますね」
「娯楽?」
「おっと、そこまではお話できません。流石に怒られてしまいます」
それでは、と席を立たれて。明智様が襖を開けた時に
「お市様、この説明で良かったでしょうか?」
「むー、うん。ギリ」
「お市様!?」
まさか会話を聞かれてたとは・・・というか気配を感じなかった!
ゴツンと背後から拳骨を食らって振り向くと眉間に皺を寄らせた雹牙殿。