第3章 本編71〜
「市にご用?」
「ええ、父に言われまして…私めがお市様に土産の品を献上せよと」
「織田の反発に加担してた貴方が?」
おっと、珍しく黒羽も睨み合いに参戦。
横に座ってる昴の背中に引っ付きこそこそお話
「(この方は?)」
「(あれ、ご存知無かったですか?松永久秀殿の嫡男の久通殿です。松永久秀に従い、三好三人衆と共に影で動いてる…厄介な御仁です)」
お兄さん達から絶賛警戒されるレベルで普段表舞台に出ないらしい。そんな方がこうやって顔を出して来たから…ああ、なるほど。
睨み合いの中ごめんなさいねと一旦席を外し、戻ってきた私の手にはお盆の上に乗ったお茶と手作り茶菓子。
「姫様?」
「はいはいお兄さん達ちょっと落ち着いて、久通さま。お夕飯食べて行って下さいませね」
もしものお話
お父上が懇意にしている織田の者を見定めに来たかもしれないとか、何か判断するものがあるのならば。
ここは胃袋を掴めば良いのかなと思った次第です。
「これは…」
「お味はいかが?」
「美味い…斯様なものがあったとは」
急な来客と言うことでそんなに食材は調達出来なかったけど、そこは昴に頑張って貰いましたとも。