第2章 本編1〜70
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京極マリアさまの襲撃があったとか、弟さんが迎えに来たけど笑顔でさっさと追い出したり。中断してた政務片付けてたら見事に缶詰め状態でした。
色々な事がやっと終わって癒しに武器の手入れしてる雹牙の背中にくっ付いてたら深い溜め息頂きました。
「…お市様終わったのか?」
「おわった、おわったよ~、暫く紙は見たくないでござる。兄さまにもお仕事持ってったし、ナデナデされて嬉しかったです」
「そうか」
ご苦労だったなと言いながら雹牙の頭がこっちに倒れて来てゴツンと頭頂部に軽い衝撃が走る。軽く痛い。
黒羽と昴は?頭ぐりぐりしながら問えばもう直ぐ戻って来るんじゃないか?って。違うんや、私が聞きたかったのはそうじゃなく。
姫様、と黒羽の声に顔を上げ、そちらの方を見れば昴と2人で何かの包みを持って来て。
「気晴らしに行きませんか?」
「はい?」
雹牙に抱えられて、連れて行かれた先は清流が流れる眺めの良い…滝の上じゃないですか。眺めが良い筈だよ、城下の見晴らしが最高です。
「どうしたの?急に」
「ずっと政務で籠ってたじゃないですか、信長公から気分転換をお願いされたんですよー」
「まあ、命じられなくても連れて出る気満々だったんですけどね」
即席ですが握り飯を用意しました。と笹の葉の包みを開けば塩結びと沢庵が入ってて。思わず嬉しくて近くに座ってた昴に引っ付いた。
忍のお兄さん達の気遣いが優しい、嬉しい。勿論兄さまも大好きです。