第2章 本編1〜70
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あー、ええーっと。
松永さまに少し引っかき回されてる中で。優雅に現れたお方に頭が痛いです兄さま。
私が出迎えますけど、何と言うか気に入られてしまったのでしょうか?
「あら、お市久しぶりねえ」
「お久しぶりですマリア、さん?」
前回は事前に弟さん名義で色々贈り物をしてきたのですで、私はてっきり弟さんがお詫びとして贈ってきたのかと思って放置してたんですよね。実はマリアさんの贈り物だったという。
それを素直に伝えたんだけど今回はどうやら従者連れて大量の荷物を持って来ました。
「これは妾からお市に、似合うと思ったのだけれど。少なかったかしら?」
「いやいやいや、多いです、有難すぎて涙が出そうです」
「そう?喜んでくれて妾も嬉しいわ」
あの長政さんのお姉さんだからと侮ってた私が悪かった。結構ぶっ飛んでますよね。
数少ない女性の友人になるかなって、私も色々用意して。荷物は何持って来たの?と問えば、着物や南蛮の商人から買い取った衣装や装飾品と聞いて冷や汗が止まりません。
これ総額おいくら万両ですか?
「久秀にも困ったものねえ、お市に迷惑は掛けないで欲しいのだけれども」
「松永さまとお知り合い?」
よくお茶をする仲だと聞いてビックリ、あのおじさま友人居たんですね。忠誠心とか皆無ですものね松永さま。
ぽんっと受け取った大きな包みは何だろうとガサガサ開けて固まった。
総レースが眩しい、真っ白なこの大きなドレスは…!!
「…ウェディングドレス?」
「あら、やっぱり知ってた?お嫁に行くときの南蛮の着物だと言われたわ」
これとてもお高いんじゃないです?腕や胸のとこのレース、これ手編みですよ。
ヴェールもあるの?また何で用意してるんですかと突っ込めばクスクス笑いながら私にとか言われても。
嫁に行く宛が無いのはこれは内輪ネタ?外じゃ知られてないのかね。
「お嫁に行けなくても憧れはあるんじゃなくて?」
「マリアさんグサっと刺さる!言葉の小刀が胸に刺さる!」
ズバズバ言うなこのお姉さん、私のライフはもう0です。
何事も無かった様に「さあ、着替えましょう?」とにっこり美しく微笑みながら