第2章 本編1〜70
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「久しいな、市」
「頼綱?」
スタンと、部屋の襖が開いたと思ったら久しぶりに友人が遊びに来ました。頼綱、開ける前に声掛けようよ。え、かけたの?私が聞いて無かっただけかゴメーン。
今日は森ボーイはどうしたの?何か約束してたっけと首を傾げれば、今日は頼みごとがあってと。珍しい、何かあったのかな。
そういえば尾張の隣の領地なのに頼綱とは殆ど交流ないよね。
「市、山菜の、毒がある無しの知識はあるか?」
「ん?一応あるよ?見ればわかる」
「久しく外に出ていないだろう、気分を変える為に出ないか?」
ああ、そう言えばここずっと政務しててここ最近外出してない。
頼綱の有難いお誘いに、兄さまに行っていい?と首を傾げるとにっと笑った兄さまは今日はもう尾張から出るので頼綱にお願いしますと頭を下げる。
お許し貰えて良かった良かった。
2人で山に入り、山菜をもぎもぎと摘みながら頼綱の後を追い。
山頂に差し掛かるとこで止まった様なので頼綱の横に立てば見晴らしの良い丘に出て深呼吸をした。
はぁー、気持ちが良い。
「随分採ったな」
「思ったよりもたくさんあったからお鍋か天ぷらかなー」
兄さま喜びそうだと笑えば頼綱の手が頭をわしわしと撫でてきたので目を瞑る。
撫でられるのは好きです。甘やかされてるんだろうけど撫でられるのは素直に嬉しい。
これで美味しい夕餉作るねと言うと頼綱は楽しみだとふんわり笑った。
帰って自室でのんびりと過ごして
そう言えば頼綱は何しに来たのと問うと、忘れてたと言わんばかりにきょとんとした顔になる。頼綱?