第2章 本編1〜70
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豊臣に行く前のお土産に何か買おうと堺まで足を運んだ時だった。
大阪城の厨借りてお茶菓子でも作ろうか、材料を求めて店を物色していると雹牙に肩を掴まれて、まるで身を隠す様な姿勢によろめく。
何があったのか、雹牙の視線の先を見れば妙に集まる人の群れ。なんか向こうが騒がしいな、喧嘩でもあったかな?首を傾げて居れば群れが左右に分かれ、見覚えのある男女が中心から出て来て此方を見た。
「あら、貴女」
「貴殿は、お市殿!?」
「…お見合いぶりですね」
奇遇ですね浅井姉弟。これっぽっちも遭遇の兆しが無かったので存在すっかり忘れておりました。浅井の弟さん、長政さんの視線が突き刺さるのを無視して
お姉さんの方へ、深々と頭を下げて挨拶をすると目の前に来た美しい顔に微笑まれた。むっちゃ美人ですね。
「京極マリア、お市様に近付くな」
「あら、貴方あの時も居た忍ね?ふうん、良い男ね」
「マリアさまむっちゃ綺麗ですね」
「ふふ、当然よ。お市も可愛くてよ」
お前何勝手にダベってやがる。みたいな雹牙の視線に気付かないフリ。
目の前に美しい女性が居て口説かない人は居ませんと笑って言えばすんごい面倒臭そうな顔されたけど
美しい白い肌、綺麗な銀髪、綺麗な手が私の頭を撫でて微笑まれた。役得。こんな美人に笑顔を向けられるだなんて。
「あの時は愚弟がごめんなさい、お見合い以降詫びの連絡も無かったわね」
「あー、詫びられてもきっと送り返してたので気にしないで下さい」
「ふふ、貴女の様な子、妾は嫌いじゃないわ」
「ありがとうございます?」
マリアさんの背後で長政さんが何か言ってるけど2人でガン無視
美人さんとお話していたらお茶とか買い物しないかとか、色々誘われて。女友達が増えて嬉しい限りです。
妹にしたいときつく抱きしめられてしまい思わず苦笑い。お見合いぶち壊しちゃったからね。
「京極マリア様、浅井長政様、今井殿に用では?探しておられましたよ」
「貴方は?」
「姫様の付き人の...兄の1人ですよ」
黒羽に用件を思い出させられて、素直に頷くとまた会いましょうと頬にキスをされて去って行かれました。なんつーか、お姉さん凄いキャラだなあ
慌てて追いかける様に走って行った浅井さんの背を見送って、さて、私もお買い物済ませて大阪城に向かいましょうか。