第2章 本編1〜70
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「お邪魔します、先触れを出したのですが」
「尾張のお市様ですね、どうぞ」
宗麟様がお待ちです、そう言われてふふっと笑う
元就のサンデー事件以来の訪問に
たたたたっと走って来る気配
「お市様!!!」
「ぐはっ」
物凄い勢いで抱き着かれて一緒にごろりと転がりそうな所で黒羽に支えられた
あっぶな!!
「宗麟殿?」
「あわわわ、お市様に黒羽さん申し訳ありません!」
「そう言えば宗麟ちゃん、相談ってなあに?」
「あ、そうでした!広間へお越しください!ザビー様もお待ちです」
元気に跳ねて道案内する宗麟ちゃんの城の広間へ行くと
ザビーさんがぺこりと頭を下げ
さて、何の用事かな?宗麟ちゃん
厨にてゴロゴロと転がる物を見て驚いた
「薩摩芋?」
「やはり知ってましたか、お市様。南の島津から頂いたのですが蒸かす以外の調理法が分からなくて」
「ほうほう」
薩摩芋は色々できるよねー
芋焼酎とか天ぷら、煮物、きんぴら等々
ささっと料理して広間に居る宗麟ちゃんに差し出したら目が輝いた
待てをされてる子犬の様な宗麟ちゃんが可愛くて撫で撫で
女中さんが全員分運んでくれたので
はい、手を合わせていただきます。
「ふあー、お市様の料理美味しいです!」
「喜んで貰えて良かったー」
なんとうちの分まで有るそうな、こりゃ直接会ってお礼を言わねば。
しばしここに泊まって、宗麟ちゃんを構い倒してからだけどね
島津まで足を運びますか。
「姫様、鬼島津の所へ?」
「うん、お芋貰っちゃったし」
ついでに、向こうでもお料理伝授しとこうかと
さらさらと紙にレシピを書いて
喜んでくれるかなーと
夜は宗麟ちゃんを抱き締めて眠った。