第2章 本編1〜70
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今日はとてもお日柄もよろしゅー
綺麗な青空を仰いで縁側でポカポカ陽気にうつらうつらしてたら
すすっと誰かが近付く気配。
うちのセコムが騒いでないから安心してたら
隣に引っ付いて私と同じく寝転がったのか
黒羽、雹牙、昴が茶を吹く
私も気になってお隣に目を向けると・・・おや、お久しぶりだね小太郎。
「小太郎。兜邪魔じゃない?」
「(否、特には)」
えいっと兜をひっぺがして私の手で防御してるので取り返すのを諦めた小太郎にくすくす笑う
真っ赤な瞳に真っ赤な髪色
わしわしと小太郎の髪を撫で
「綺麗ね、小太郎の髪と目の色」
紅葉の真っ赤な色だねと髪に触れるとわたわたとするので
思いきって小太郎に抱き着いてスリスリと甘えると小太郎が固まった。
「お市様、小太郎も俺と同様目や髪を褒められた事がない」
「あ、そうなんだ」
折角綺麗な色してるのに勿体無い
尚更、綺麗だよ?と追加で褒めると顔を真っ赤にし
手で顔を覆ってしまった。
「ありゃ、こたろー?」
ぎゅうぎゅうと小太郎に抱き着いてたら
ほっほっほ、と笑い声。
氏政お爺様が笑いながら訪ねて下さった。
やばばば、このだらしない格好何とかせんと
急いで起きて正座して氏政お爺様を迎えたらふわりと微笑んで撫でられた。
「風魔のこの様な顔を見るのは初めてぢゃのう」
気付いたら氏政お爺様の背後で膝を着き
あ、一瞬で兜取って逃げたなあ?
氏政お爺様もまだ赤い小太郎の顔を見てナデナデ。
完璧に孫扱いだよね小太郎。
「どうぢゃ市姫や、風魔の嫁にならんか?」
「またまた~、氏政お爺様。こんな行き遅れ貰ったって得しませんよ」
縁談の文すら来ないんですから、とケラケラと笑って言うと。
氏政お爺様はにっこり無言で黒羽達を見て
黒羽達は3人して顔の向きを変え
「ちと過保護過ぎやせんかのう?」
「気のせいでしょう」
「問題は無い」
「あははー・・・」
三者三様、視線を逸らしてから逃げた。
ちょっと兄上の所へ行ってくるぞい、と頭を撫でられて
え、行くの良いけど小太郎置いて行くの?
てか今兄さまに挨拶してから来たんじゃないの?
あ、小太郎と黒羽達がチェンジで警護に当たってるのね。
ならよかった。