第2章 本編1〜70
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「よう市!遅くなったな!」
今日も今日とで雹牙に羽交い締めされてたら
昴の救世主!
元親がやってきた。
「元親あああ!」
「お前ぇ、何で雹牙に羽交い締めにされてるんだよ」
ついっと2人が暴れてる方を指差したら
元親の笑顔がひくりと引き攣って
「え、気合いって説明だけであんなんなってんのか?」
「昴がボロボロでっす」
「ああ、其れで手ぇ出すなって羽交い締めにされてんのか」
こくこくと頷いたら、元親はばりばりと頭をかき
庭に飛び出して行った。
「おい真田ァ!我武者羅に教えても炎の制御は慣れてない奴にゃ厳しいぜ!」
「む、何者でござるか?」
「俺は西海の鬼、長曽我部元親だ。昴、少し休んで来い」
「は、はい」
ズタボロにされた昴が息を切らせて
冷たいお茶を出して休ませる。
何か昴の身体から蒸気みたいなのが見える?
何だろうと手を伸ばすと
戻ってきた元親に手を掴まれて制された。
「今は触るな、火傷しちまう」
「これ、なあに?」
「昴の婆娑羅が内に溜まってんだ。昴も、熱いだろう」
「はい・・・」
成る程、炎の婆娑羅はそんな感じなのか。
休憩し終わった昴を連れて、再び庭に出て
「精神を集中させて抑えろ、じゃないと炎に食われるぜ?」
「はい」
「おし、溜まった熱を放出させる様に、全力で俺に攻撃してこい!」
「はい!」
暑いー・・・目の前で焚き火に当たってるみたいな感覚
ふと雹牙の手が私の額に当てられて
ひんやりしててきーもちいー
さっきとは逆に雹牙にくっついたら、全体的にひんやりしてて気持ちいいです。
黒羽は大丈夫かと、視線を向けると口を覆面で覆ってて少し額に汗が滲んでる。
完全に平気って訳じゃないんだね。
視線に気付いた黒羽は、にこりと笑って私の頭を撫でて。
瞬間、昴と元親の婆娑羅がぶつかった。
「おお、流石!長曽我部殿でござる!」
「熱いねー」
熱風凄いな炎の婆娑羅って、熱くて雹牙にべったりくっついてたら
雹牙も氷の婆娑羅で周囲を覆ってきたので
ちゃっかり黒羽に続き佐助も入る
「ふう、暑かったですね」
「涼しいー、真田の旦那は炎の婆娑羅者だから平気なのかね」
闇の婆娑羅者率高いなここ!
ギィン!ギィン!と響く刃物がぶつかり合う音と
元親の指導する声が暫く響いた。