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闇に咲く華

第2章 本編1〜70


39

茶を俺達に持ってきた女中は、予め用意されてた物を持っていけと命じられたらしい
これは他の者も見ていたので裏は取れている。

「残るは・・・」
「女中や忍に命令できる者ですね」
「老職、侍大将、目付頭、戦奉行、各支配・・・ったく、キリが無いぞ」

2人は頭を抱えながら竹中から受け取った名簿をめくる。

「黒羽殿、雹牙殿」
「神楽ですか」
「はい、大阪城の忍頭を連れて参りました」
「朧、と申す」

ああそうか、この大阪城の忍に聞けば少しは進歩しただろうに。
主が毒に倒れてから無意識に焦っていたようだ。

「何か知っておいでで?」
「市姫様含め、各国の殿様が集まる直前に1人、怪しい行動をする老職が居たと報告が」

黒羽、雹牙、神楽は顔を見合わせて

「詳し・・・「君達、どこで情報の交換してるのさ」竹中殿に元就」
「此所は厨ぞ」

神楽は主の元就の側に移動し、朧は竹中にぺこりと頭を下げて。

「・・・で、老害が僕達を脅かそうとしている訳だね?」
「はっ」
「聞いていらしたのですか」
「君達ねえ、市姫が倒れたからって僕達の気配も読めなかったの?」
「少々注意が散漫になっておるぞ、落ち着くがよい」

知将2人に宥められて、黒羽と雹牙は溜め息を吐いてしゃがみこむ。

「竹中、老害に心当たりは有るのか」
「ちょっとね、軍義の度に楯突いて来るのが2人程居てね。朧君、2人の監視は?」
「1人は姿を消し、もう1人は部下が追っております」
「姿を消した・・・ふむ。始末されたか」
「大方、もう1人は僕達の毒殺に失敗したのに臆して逃げたかな?逃亡に協力してる裏切り者の忍も1匹居そうだね」

黒羽と雹牙はきょとんと、竹中と元就を見て

「如何した、黒羽、雹牙」
「何だか、姫様を見ている様です」
「あはは、僕達はまだ市姫の足元にも及ばないよ」
「あ奴は底が知れぬ」

まあ、前世と言う記憶を持ってるから確かに。
と2人で納得して、話の続きを聞こうとしたら
複数の気配が近付いて来て

「通り掛かったから捕まえて協力させたぞ」
「「風魔!?」」
「(賊は捕らえた。市の容態は?)」
「眠っている、致死量ではない」

心配なら行け、と促すと。
首を振り、賊の言い分を聞くと残った。

「風魔君も市姫に甘いね」
「あはは・・・」

幼い頃に会っているからなとは言えずに。
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