第2章 本編1〜70
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茶を俺達に持ってきた女中は、予め用意されてた物を持っていけと命じられたらしい
これは他の者も見ていたので裏は取れている。
「残るは・・・」
「女中や忍に命令できる者ですね」
「老職、侍大将、目付頭、戦奉行、各支配・・・ったく、キリが無いぞ」
2人は頭を抱えながら竹中から受け取った名簿をめくる。
「黒羽殿、雹牙殿」
「神楽ですか」
「はい、大阪城の忍頭を連れて参りました」
「朧、と申す」
ああそうか、この大阪城の忍に聞けば少しは進歩しただろうに。
主が毒に倒れてから無意識に焦っていたようだ。
「何か知っておいでで?」
「市姫様含め、各国の殿様が集まる直前に1人、怪しい行動をする老職が居たと報告が」
黒羽、雹牙、神楽は顔を見合わせて
「詳し・・・「君達、どこで情報の交換してるのさ」竹中殿に元就」
「此所は厨ぞ」
神楽は主の元就の側に移動し、朧は竹中にぺこりと頭を下げて。
「・・・で、老害が僕達を脅かそうとしている訳だね?」
「はっ」
「聞いていらしたのですか」
「君達ねえ、市姫が倒れたからって僕達の気配も読めなかったの?」
「少々注意が散漫になっておるぞ、落ち着くがよい」
知将2人に宥められて、黒羽と雹牙は溜め息を吐いてしゃがみこむ。
「竹中、老害に心当たりは有るのか」
「ちょっとね、軍義の度に楯突いて来るのが2人程居てね。朧君、2人の監視は?」
「1人は姿を消し、もう1人は部下が追っております」
「姿を消した・・・ふむ。始末されたか」
「大方、もう1人は僕達の毒殺に失敗したのに臆して逃げたかな?逃亡に協力してる裏切り者の忍も1匹居そうだね」
黒羽と雹牙はきょとんと、竹中と元就を見て
「如何した、黒羽、雹牙」
「何だか、姫様を見ている様です」
「あはは、僕達はまだ市姫の足元にも及ばないよ」
「あ奴は底が知れぬ」
まあ、前世と言う記憶を持ってるから確かに。
と2人で納得して、話の続きを聞こうとしたら
複数の気配が近付いて来て
「通り掛かったから捕まえて協力させたぞ」
「「風魔!?」」
「(賊は捕らえた。市の容態は?)」
「眠っている、致死量ではない」
心配なら行け、と促すと。
首を振り、賊の言い分を聞くと残った。
「風魔君も市姫に甘いね」
「あはは・・・」
幼い頃に会っているからなとは言えずに。