第2章 本編1〜70
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道場の近くを通るとタンッ、タンッと弓矢の練習する音が聞こえる
ああ、頑張ってるんだなと兄さまから受け取った文と政務を持って歩いてると
「お市様!!」
元気な声がやってきた
「おはようございます!お市様!」
「おはよう、蘭丸。お稽古頑張ってね」
「はい!」
再び走って、弓の的の方に行く蘭丸を見送って
私も政務にと自室に向かった。
最近皆に会ってないなあ。
政務が終わって兄さまの所に向かったら。あ、蘭丸もいた。
「兄さま、大阪城に行きたい~」
「友に会いたいと申すかぁ」
蘭丸ちょっとビックリ顔、そりゃね・・・私がこうやって兄さまに甘えるの見せるの初めてだものね
「元就と晴久と元親と三成と吉継に会いたいでっす」
だから外出の許可を~!と三成風に言いながらぐりぐりと。
甘え倒してたらふむ、と考えてた兄さまからお休みをもぎ取った!
やったーとはしゃいで、部屋に戻ろうとしたら
「お市様は、お友達の所に行くんですか?」
おう?急にどうした蘭丸
「うん、久しぶりに会うのよ?」
「お市様!蘭丸も連れてって下さい!」
はい?何で?
「蘭丸は兄さまの小姓よね?」
「う、」
あのね?小姓と言うのは皆勘違いしやすいんだけど
主を守って傍にお仕えするのが仕事なんだよ?
蘭丸が兄さまから離れてる間に
兄さまに何かあったらどうすんのとちょっとキツめにお説教したらしゅん、と
はーい・・・と言って戻ってった。
「小僧は何を勘違いしてるんだか」
「まあまあ、雹牙ってば蘭丸嫌いよね」
「ああいう子供は嫌いだな」
あははと半笑いで雹牙を宥めて
地方の友人宛てにお手紙を書いた。
一応忙がしくない時期を狙ったけど
皆来れるかなぁと
文字をしたためて黒羽にお手紙をお願いした。