第2章 本編1〜70
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「(あ、この子・・・)」
広間に行ったらすんごい見覚えのある子が兄さまの前に座る。
「来たか、市と伊達の小僧、光秀」
義姉さまが天井裏を見て降りて来なさい、と口パクで言って
黒羽達も私達の後ろに降りて来た。
「来たわね皆、今日から上総介様が小姓を雇ってね?」
小さな背中に声を掛けて
「さ、蘭丸君。上総介様の妹君のお市に、お友達の伊達政宗君、光秀はうちの重臣よ」
ご挨拶してね、と振り向かせた顔は。兄さまに一切怯えなかったのか。
小さいながらも凛々しい顔つき?
「も、森蘭丸だ・・・」
「織田信長が妹、市です、宜しくね。蘭丸」
がちがちに緊張してるっぽい蘭丸の頭を撫でたら、大きな目が私を見てぱちくりと
「あのお市様ですか!?」
「どの」
一体この子の中では私はどうなってるんだと。チラリと義姉さまを見たら苦笑いで
「上総介様が、貴女の作った物の事全部話しちゃって」
「兄さま?」
「ふん」
チビの時からこの時代に無いモノを作ったらそらこんな反応されるよね。
何か兄さまから私がいかに凄いのかとか拡張されて伝わってる気がするんだけど!
頭を撫でてる手をきゅっと掴まれて
「蘭丸は、お市様もお守りしますね!」
いや、きみ兄さまの小姓でしょう。役目らしく兄さま守ろうね?
「蘭丸君は上総介様をお守りしましょうね。お市の護衛はそこのお兄さん達がしてくれるのよ?」
義姉さまが言い聞かせる様に言ったら。キッと黒羽と雹牙を睨んで。
「絶対蘭丸はお前達よりも強くなってやる!」
「何だ貴様」
「まあまあ、雹牙」
あれ、何かウチの兄ズと蘭丸との距離が遠いよ?