第2章 本編1〜70
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「市姉ちゃん、お願いがあるだ」
「なあに?いつきちゃん」
時雨さんは黒羽と雹牙にまるっと採寸されて
ちょっと煤けた雰囲気が痛いよ、大丈夫?
いつきちゃんはそんな時雨さんに抱き着きながら私に話し掛けてきた。
「時雨兄ちゃんの服さ縫うの手伝ってもいいだか?」
「良いよ、いらっしゃい」
可愛いお願いにくすくす笑っていつきちゃんを呼び呼び。
時雨さんの服のデザインはもう決まってるんだよね 。
「いつき・・・」
いつきちゃんのお願いに時雨さんは目をぱちくりさせて。
可愛いな!いつきちゃんも時雨さんも!
パターンに合わせて布を切って縫う所をいつきちゃんに教えながら私も手を動かす。
スタンと襖を開けて入って来たのは政宗で
「Hey!時雨の装束の進み具合は順調か?」
「勿論」
「おらも手伝ってるだよ」
そうかそうかといつきちゃんの頭を撫でる政宗を婆娑羅で捕まえた
「政宗、政務は?」
「げ」
げ、じゃないよ全く。
そのままお仕置きとしてギリギリと絞めてたら鬼の形相の小十郎さんが来て
政宗を引きずって出ていった、ありゃ極殺で説教だな。
縫い縫いと、黙々と作業してたら黒羽が兄さまからの伝言を持ってきてくれて
一旦手を止めて手紙を読む。
ん?明後日には必ず執務室に来い?
何かあるのかな。
私が作業やら政務やらで集中してる時はお手紙で来るんだよねー。
さて、其れまでには終わらせられるかな?
「いつきちゃん、手を早めるね」
「用事だか?わかっただ」
ん、良い子の返事を貰って装束の仕上げに入った。