第2章 本編1〜70
30
暇だ・・・
某椎茸髷のオッサンに誘拐されてから中々外に出して貰えず。
グリグリと雹牙の背中に甘えてたら怒られた。
えーん、黒羽ー!雹牙が怖いー!
「まあまあ、雹牙。姫様、雹牙は怒っている訳では無いのですよ?」
「ふえ」
「私も雹牙も、己の不甲斐なさに少々気が立っているのです」
「・・・警戒していたとは言え、みすみすお市様を松永の手に渡してしまったからな」
「・・・・・・」
そんな事考えてたんだ2人共
「・・・ちょっと信長公にお伺いを立ててくる」
そう言って消えた雹牙。お伺い?何の許可を取りに行ったのかな?
黒羽に聞いてもにっこりと笑ったまま答えてくれないし。
雹牙が戻るまで無言で頭を撫でられてた。
何かお兄さん達の雰囲気がオカシイ?
「黒羽、雹牙も居なくならないよね?」
「大丈夫ですよ、姫様のお側を離れません」
不安で、泣きそうになりながら問うたら。
いつもの笑顔で、いつもの優しさで答えてくれた黒羽を、ぎゅうっと抱き締める。
それから数日、急に小太郎がやって来た。
あれ、どしたの?
「お市様、久しぶりに外へ出るか?7日くらいだが」
「え、いいの?」
「信長公から承諾は得ておりますよ」
「(今回は世話になる)」
ペコリと小太郎に頭を下げられて。はて、何処に行くのやら?
「目的地に着くまで内緒です」
そう言われながら馬に乗って、尾張を後に
西へと向かった。
な、何か緊張するんだけど!
方角は大阪城?行き先を告げられぬままに、忍3人に連れられて行った。