第2章 本編1〜70
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虎で思いっきり癒しを得てから、広綱の居城、宇都宮城にお邪魔させて頂きました。
「急に来ると先触れが来て驚いたぞ、市」
「広綱、ごめんね」
「なに、政務も丁度終わったところだ!ゆっくりしていけ」
ふと広綱が、黒羽の後ろに居る宗麟ちゃんを見つけて
「ん?市の弟か?」
「僕は大友宗麟ですっ」
「ああ、お前が九州の。よく来たな!」
産む親居ないっつーのに・・・弟とか。凄い勘違いだな。
広綱が宗麟ちゃんの頭を帽子ごとわしわし撫でて「よし行くぞ!」と手を引いて行っちゃいました。
何かあの2人が兄弟の様に見えるんだけど。
「お市様、どうした」
「ううん、2人も行こう」
兄さまとも、ああやってお出かけできたらいいなと思ったのは言わない。
私を出してくれて、いっぱい我儘聞いてくれた兄さまに迷惑はかけられないね
「おーい、市?」
「お市さまー?」
「今行く、よ」
2人を追いかけて、走って。
宗麟ちゃんが空いてる手を伸ばしてくれたのでその手を取って
「広綱が近くにいると涼しー」
「え、俺は涼を取る手段なのか?」
おやつ作ってあげるから氷出してね~って言ったらすんごい項垂れられた。
いやあ、毎度毎度雹牙に氷出して貰うのにも気が引けてさー
今日のおやつはかき氷さ!
城に入って、高定さんとご挨拶をして。
皆にかき氷を振舞ったら喜ばれた。
「うん、美味いな!」
さっきまで文句言ってた人が開き直ってました。
「広綱、最近体調どう?」
「ああ、市のくれる薬のお陰か。寝込まなくなったな」
「市姫には感謝しておりますよ」
高定さんにも頭を下げられて。
いやいや、体弱いの知ってたから対処できたんだってば。
あとは材料を集めて来てくれた忍の皆さんのお陰。
健康に良いと教えたご飯を作ってくれる女中さんにも感謝です