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闇に咲く華

第2章 本編1〜70


20

信長公からの用事で何故か雹牙と2人で伊賀に戻る事になった。
今更里に用はないんですが、信長公は何を考えているのですか・・・

「そう言えば姫様が見当たらないのですが」
「市は余の部屋で政務に励んでおるわぁ」
「・・・其れならば安心だな、黒羽。さっさと用件を済ませて戻るぞ」

雹牙は不機嫌丸出しですね・・・。
かく言う私も行きたく無いのですが、公の命は絶対。

出来れば誰にも見つかりたくないので、さっさと行って参りましょうか・・・

木々の枝に飛び移り、伊賀への道を、足を速める

「今更何の用があるんでしょうかね」
「10年以上放ったらしておいて・・・」

里の入り口に着いて、辺りに気配が無いのを確認して中に入る。
厄介なのに見つかったら面倒ですからね。

身を潜めて、長の居る屋敷に入る時に・・・何人かに見られましたね。ああ、面倒臭い。
雹牙が舌うちをして、屋敷のドアを乱暴に開ける。

「おい、馬鹿息子。少しは静かに開けれないのか」

ドアを開けた部屋の先に、私達の師であり、雹牙の父君。百地三太夫様が佇んで居た

「煩い馬鹿親父、信長公からの命でなければ二度とこんな所に来るか」
「まあまあ、雹牙。三太夫様、用件とは?」
「まー、焦んな。ほらよ」

私達に渡されたのは2通の文

中を読んで2人で息を飲む、この文字は・・・姫様?

「・・・おい、この文は何だ。お市様は此処に来たのか?」
「いっぺんに質問すんな雹牙。良いから全部読め」

三太夫様に言われて、文を全て読み終わって・・・これは。

「良い二つ名、貰ったんじゃねえか」

そう言って、にかっと笑う三太夫様にポンと頭を撫でられて。

「あの、私は撫でられる年では・・・!」

背後から、雹牙と共に抱き締められる状況に驚いた

「・・・お市様?!」
「どっきり、成功?三太夫さま」
「な、姫様!城に居たのでは・・・じゃなく、どうやって!」
「成功成功、ホントに気の強い姫さんだな」
「おい、クソ親父。どういう事か説明しろ、お市様がどうやって里に入った!」

しばし私達の背中にくっついてた姫様がきょとんとした顔で

「小太郎に、頼んだの。連れてって、って」

姫様の言葉に、三太夫様の横に風魔が現れた。
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