第2章 本編1〜70
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信長公からの用事で何故か雹牙と2人で伊賀に戻る事になった。
今更里に用はないんですが、信長公は何を考えているのですか・・・
「そう言えば姫様が見当たらないのですが」
「市は余の部屋で政務に励んでおるわぁ」
「・・・其れならば安心だな、黒羽。さっさと用件を済ませて戻るぞ」
雹牙は不機嫌丸出しですね・・・。
かく言う私も行きたく無いのですが、公の命は絶対。
出来れば誰にも見つかりたくないので、さっさと行って参りましょうか・・・
木々の枝に飛び移り、伊賀への道を、足を速める
「今更何の用があるんでしょうかね」
「10年以上放ったらしておいて・・・」
里の入り口に着いて、辺りに気配が無いのを確認して中に入る。
厄介なのに見つかったら面倒ですからね。
身を潜めて、長の居る屋敷に入る時に・・・何人かに見られましたね。ああ、面倒臭い。
雹牙が舌うちをして、屋敷のドアを乱暴に開ける。
「おい、馬鹿息子。少しは静かに開けれないのか」
ドアを開けた部屋の先に、私達の師であり、雹牙の父君。百地三太夫様が佇んで居た
「煩い馬鹿親父、信長公からの命でなければ二度とこんな所に来るか」
「まあまあ、雹牙。三太夫様、用件とは?」
「まー、焦んな。ほらよ」
私達に渡されたのは2通の文
中を読んで2人で息を飲む、この文字は・・・姫様?
「・・・おい、この文は何だ。お市様は此処に来たのか?」
「いっぺんに質問すんな雹牙。良いから全部読め」
三太夫様に言われて、文を全て読み終わって・・・これは。
「良い二つ名、貰ったんじゃねえか」
そう言って、にかっと笑う三太夫様にポンと頭を撫でられて。
「あの、私は撫でられる年では・・・!」
背後から、雹牙と共に抱き締められる状況に驚いた
「・・・お市様?!」
「どっきり、成功?三太夫さま」
「な、姫様!城に居たのでは・・・じゃなく、どうやって!」
「成功成功、ホントに気の強い姫さんだな」
「おい、クソ親父。どういう事か説明しろ、お市様がどうやって里に入った!」
しばし私達の背中にくっついてた姫様がきょとんとした顔で
「小太郎に、頼んだの。連れてって、って」
姫様の言葉に、三太夫様の横に風魔が現れた。