第2章 本編1〜70
すたこらさっさと走って、書庫に行って。兄さまの所で単語の勉強だよ!
「行ってしまわれましたね」
「気にしなくて良いものを・・・」
「まあ、私達の為に下さるのであれば。姓も名乗って良いんじゃないです?雹牙」
「お前は気楽だな」
「姫様ですから」
「・・・まあな」
はぁ・・・と深い溜め息のあと。2人は市の向かったであろう書庫に消えて行った。
「黒羽と雹牙の為に新たな二つ名を命名すると言うか市ィ」
「うん」
「まあ、お市は優しいのね」
姉さまに頭を撫でられながら、こくりと頷いたら兄さま大爆笑ですね。
「三太夫の奴がどういう反応をするか見物よなぁ!」
「兄さま、百地三太夫さまを知ってるの?」
「雹牙と黒羽が十五の時に織田に来させたのは奴よぉ」
わあお、お父様は2人を守っていたんですね
・・・滅ぼさなくて良かった。
早速書庫から漁ってきた巻物や書物を開いて。
さあ、まず単語のお勉強しようか
「百地雹牙に篠山黒羽、か」
初めて2人が自分の事を話してくれた様な感じがして。凄く嬉しかった。
まあ、私が聞いたんだけどね・・・