第2章 本編1〜70
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「おお、市姫か?大きく、美しくなった。黒羽も雹牙も健在で安心したぞ」
「昌幸さま、お久しぶり」
「お久しぶりでございます」
上田城に到着してから、ばったりと昌幸さまに出会いました。
前来た時は熱で倒れてしまったけど、今はとても元気みたいですね
「ん?小倅と一緒じゃなかったか?」
「あれ?」
最近の近況と共に一緒に歩いてたはずなのに幸村を見失ってしまいました?
「全く、あいつもやっと落ち着いたと思っていたのに」
「幸村、どこ行ったんだろ?」
そう言ってたら佐助が上から降りてきて。
「姫さんごめん!旦那ってばずっと姫さん後ろに居ると思って自室に行っちゃった」
「お前の主は大丈夫なのか」
まあまあ、雹牙、佐助が案内してくれるって言ってるから良いじゃないの
佐助に連れられて幸村の部屋に着いたら思い切り土下座された・・・。
「申し訳ありませぬお市殿!!まさか置いて行ってしまったとは気付かず!!」
「大丈夫、佐助が案内してくれたから」
そう言いながらお土産を渡すと・・・見えないはずの尻尾が見えそうになるのは何ででしょうか。
「おお!これは某が好きな甘味処の団子でござる!!」
「其れは、良かった」
幸村は佐助にお茶の支度を頼み、にぱにぱ笑っている。にゃろう可愛いな。
気配が2~3人ほど近づいて来て
「幸村、良いか?」
「父上?勿論でござる!」
入って来たのは昌幸さまと信之さま、多分天井裏に仁助さんかな?
「市姫、お美しくなられたな。以前は父を助けて頂いた故、礼を言う」
「信之さま、久しぶり」
何か真田家が集まって来ちゃったけど、何が何だか。
「黒羽殿と雹牙殿も凛々しくなった」
「何か伊達家でも同じ事言われましたねぇ」
「大して変わってないと思うんだが・・・」
うーん、19歳の時と、今の24歳を比べたら大分顔も変わると思うんだけど
私は毎日一緒にいるから少しの変化も気付いて無いかもしれない
「はい、旦那お茶持って来たよ、大殿と信之様も」
「ああ、佐助ありがとう」
「ありがとう、市姫もお土産をわざわざ」
「ううん、気にしないで」