第2章 本編1〜70
くちをぱっかり開けて驚いてるいつきちゃんに近寄って頭を撫でた
「市って呼んでね、いつきちゃん。宜しくね」
くすくすと笑って名を告げたら顔を真っ赤にしてにっこり笑ってくれた。可愛い。
「いつきちゃん、皆にご挨拶済んだ?」
「うん、ちょっと寂しいんだけども、大丈夫だべ」
「お荷物は、大丈夫?」
「ん、少ししか無いだ。準備できてる」
うん、それなら大丈夫ね。住み慣れた家を離れるのは寂しいだろうけど。
皆、いつきちゃんの幸せを考えて送り出してるからね
田畑の作業の時期には来るっての彼女らしい。
手を繋いで、家を出たら作業中だろうに、村人皆がいつきちゃんに手を振って見送ってくれる。
いつきちゃんは私と同じ馬で相乗りなので、先に抱っこして乗せ。私も続いて乗ったら
「何だか姉ちゃんができたみたいだべ」
可愛い感想に少し笑った。
「さて、城に戻るとするか」
「よーし、梵!競走しよ!」
「兄上・・・成実さん・・・」
「政道、放っておきましょ」
「兄ちゃん達子供みたいだべ・・・」
良い子は見ちゃ・・・違った真似しちゃだめよ?
さあて、私達は風景を見ながらゆっくり行こうか。