第2章 本編1〜70
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翌日、黒羽と雹牙は陰護衛として姿を隠し。
いつきちゃんと仲が良いと言う政宗、政道、成ちゃんと4人で最北の村に馬で向かってる途中で、いつきちゃんの事情を聞いておいた
「その地を任されてた領主って?」
「勿論処分して、今後は俺が見る事になった」
「まあ、梵なら大丈夫でしょ?」
「兄上の仕事は増えますけどね・・・」
政道くん、お仕事の事は触れちゃいけない・・・お兄ちゃんの政宗が項垂れてるよ。
「だから、僕がその村の領主になるって言ってますのに」
「No.駄目だ、お袋が寂しがるだろ」
「何も、兄上が全ての政務を抱えなくても・・・お手伝いくらい出来ますよ」
「梵は溜め込んでから政務を片付ける性格だよねぇ」
成ちゃんて地味にえぐるよね、心の傷。ほら、また政宗が落ち込んだ。
馬で暫く駆けた先には小さな村。政宗達も馬から降りて、まず村長さんにご挨拶。
「おお、伊達の殿様、よく来てくれただ」
「いつきを迎えに来たんだが、居るか?」
「少し前にこちらで挨拶をして行ったので、自分の家で支度してるかと・・・そちらのお嬢さんは?」
「今回、いつきがうちに慣れるまで一緒に居てくれる、尾張のお姫様だよ。ほら、前に言った」
「成ちゃん、何言ったの?」
「ん?色々」
「成実さんってば・・・お世話になった時の市さんの人柄だけですよ。安心して下さい」
まあ、それくらいなら良いけど。
村長さんにご挨拶をしてからいつきちゃんの居るであろう家に向かった
小さな、木で作られた家。ここで独りは寂しかっただろうに。
周囲を観察してみると、ここって子供がとても少ない様子。居ても私と同じくらいの年の子をチラリと見えたくらいで
前の領主のせいで飢餓に苦しんで死んでいった者も居ただろうと思う。
「蒼いさむ・・・政宗兄ちゃん!」
「お前また俺の事『蒼いさむらい』呼びしかけただろ」
「これから兄妹になるのですから、ゆっくり名前を呼べる様にしましょうね」
「わかっただ、政道兄ちゃん」
「おい!政道は普通に呼べてるじゃねえか!」
「あはははは!梵って第一印象最悪だったじゃん!」
何かほのぼのしてて可愛いなぁ、いつきちゃん
彼女は私に気付いたのか首を傾げて
「政宗兄ちゃん、その綺麗な姉ちゃんは?」
「Ah.いつきがウチに慣れるまで見てくれる姫さんだ」
「ふああ、お姫様だか・・・」
