第2章 本編1〜70
「いよっす、勝家。元気かー?」
「・・・何の用だ」
城で政務をしてたのだろうか、訪れたら不機嫌そうな勝家が居た。
ああ、そうか。
「姫さんに捨てられたからって機嫌悪くしなくていいんじゃない?」
「捨てられてなどいない、お市様はもう一度歩めと言って下さったのだ・・・」
「なら何でそんな顔してんだよ」
安土城で初めて会った時よりもひっでえ面してるぞ勝家。
だけど、姫さんの言う通り、無表情では無くなったかな・・・こいつはたまに気のきいた事するかんなー
今だって、無表情には程遠い眉間に皺寄ってんよ。
「私は・・・お市様を見守れるだけで幸せなんだ・・・」
「好きなら好きって言えばいいんじゃね?」
そう問うたら勝家は首を横に振って
「あの方と、幼馴染み殿達の距離は近い・・・私が入り込める隙は無い」
あー、三成様と刑部さん、長曾我部に毛利、尼子と来たらねぇ。
三成様曰く、姫さんに小さい頃助けて貰ったらしいんだけど。小さい頃って言ったら10歳の子供じゃん。
何をしたんだかあの姫さん。
「あの方は強い・・・誰よりも、それを支える黒羽殿と雹牙殿が羨ましく感じる」
「で、アンタは見守るだけ?」
「言っただろう、側で見守るだけで幸せだと」
「アンタも健気だねえ・・・」
俺だったら速攻告白すっけどな。姫さんにやったら三成様達が全力でキレそうだから俺はやらないけど。
報われない恋ってのもやだねぇ・・・