第2章 本編1〜70
01
いや、想像はしてた。本人の性格も知ってた。
だからってこれは無いでしょ。
「其方が来てくれれば魔王も悪しき心を入れ替え!我が正義に答えてくれるであろう!」
兄さまが悪?心を入れ替える?
兄さまはずっとずっと私の為に色々やってくれて、凄くお優しいのに
この方は、兄さまの噂ばかり耳にしていたんでしょうね!
「其処な忍も悪の心を入れ替え正義と成る筈!」
その忍ってさ・・・私の後ろに控えてる黒羽と雹牙の事ですよねえ?
「貴方にとって、忍は悪?」
「当たり前だ、暗殺、諜報なぞ容易くする者のどこが正義だ!」
ちょっと、キレて良いかな。
「忍って言うのは、主の命によってお仕事をするのよ?命令に逆らったら処分されてしまうのに悪?自分を草と言う忍の立場になって考えた事あるの?」
あーもう、腹立ってきたから言いたい事言ってしまえ
「後ろの忍、黒羽も雹牙も小さい頃から市を助けてくれてきたお兄さんよ?貴方は市の大好きな人を貶したのを自覚してらっしゃる?
正義正義って言うけど其れは貴方の価値観の違いでしょう?兄さまも凄くお優しい方よ
噂だけで調べもせずに罵るなんて愚か者の極みね」
浅井さんのお隣に居る美女は御姉さんかな。まあ、と驚いて
浅井さん固まってますね。
「この縁談は破棄させて頂いても?」
「あら、良いわよ?此方に非があったのだし」
御姉さん、良いんですか?
失礼、と呟いて黒羽と雹牙を連れて部屋を出て行った。
「・・・情けないわねぇ長政」
「姉上・・・」
「あの子の言う通りだと妾は思うけど」
「・・・」