第1章 幼少期
そこでふと、義元さまの空気が変わり・・・
「市姫に付いていた者は忍か?」
「うん、兄さまが紹介して下さったの。市のお兄さんよ」
「兄か、市姫の兄を紹介してはくれまいか?」
そういや旅の話をした時に何回か名前出したものね
天井裏に顔を上げ
「黒羽、雹牙、いい?」
聞いてみたらストンと降りて来てくれました。
「私は黒羽と申します」
「俺は雹牙、と申す」
「うむ、尾張から遥々ご苦労であったな。其方らの噂は聞いている」
「2人の噂?」
「余の忍にも伊賀忍が居るのでな。大変であっただろう」
其れは、二つ名が付いた。2人が鬼子として呼ばれてた事だろうか
「今はお市様に付けれて、良かったと思って居る」
「そうですね、姫様にはいつも救われていますよ、義元公」
「そうか、良い主・・・否、妹を持ったな」
何か文を書き微笑む義元さまは、それを丸め私に差し出す
「其方の人柄は素晴らしい、同盟の件の文を書いた。兄上に渡してたもれ」
「ありがとうございます」
この方は、私を見て考えてらしたのね。
次の日に、渋る竹千代を宥め。
尾張に帰る事になりました・・・・
義元さまが寒いからと羽織を下さって、この方は優しいお方なんだと思った。