第1章 幼少期
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急に行ったら間違いなく警戒されるので、兄さまと私の直筆の文を先に送り、同盟の文を持って今川領に行くことになりました。
「文よーし、武器よーし、竹千代よーし」
「ワシは荷物扱いか!?」
ふざけて持ち物準備してたら竹千代のツッコミ頂きました!
「お市様、馬を連れて来た」
「ありがと雹牙。竹千代は黒羽と相乗りお願いね」
「ああ、分かった」
もう先触れは届いてるハズだから、指定した日には到着しないと
今回は馬を走らせて早めに駿河入りです
「姫様、ここからはもう既に今川の領地です」
「うん、ちょっと緊張するね」
今川領に入ってからは使者が来ると返事が来てたので少しゆっくり進んでいたら笠をかぶった方が馬に乗って待機していた
この男性が今川の使者の方かな?
「良くぞ参られた織田の姫君」
「織田信長が妹、市です。お迎え感謝致します。こちらは付きの黒羽と雹牙」
そう紹介すると、彼は笠を取り…すんごい美貌ですねこの方!!
「私は梅岳承芳、竹千代殿の件については感謝してもしきれぬ」
「此度は裏切った者が済まない、ワシは信長公とお市殿の好意で駿河に参った」
えと、梅岳承芳さまの視界の暴力的な美しさに私は何も言えません。
「市姫よわざわざ駿河までご苦労だった。城まで案内しよう」
「あ…はい、ありがとうございます」
再び笠をかぶった梅岳承芳さまの後を追って、私達は田原城に向かった。
城下町が見えてきたのできょろきょろと観察なう
金山があるお陰か賑やかとまでは行かないけれど民の顔が明るい
流石、守護大名と呼ばれるだけありますね
…原作のあのお方からは全然連想もできないけど。仕事は真面目さんの様です。
「こちらが我が田原城です」
「案内、ありがとうございます」
馬から下りてぺこりとお礼を言うと梅岳承芳さまは微笑んで頭を撫でて下さった
「幼い身ながらよくここまで来て下さった、殿との謁見の間、客室にて旅の疲れを癒しなされ」
「竹千代は、一緒?」
「まず客人として会いたいそうだ」
「感謝する、梅岳承芳殿」
城に入り、女中の方に客間へ案内され一息ついたけど
「目に毒って言葉が合うくらいの美貌って、あるんだね」
「ははは、ワシも思ったぞ」
「梅岳承芳殿、聞いた事があるような無いような?」
「俺も諜報でここに入った事はあるが梅岳承芳殿の名は聞いていない」
「へ?」