第1章 幼少期
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大晦日に大忙しで1人で厨に篭ってます
お正月になる前におせちを作ろうと必死でございます。
堺の職人さんに頼んでお重は作って貰ったんだけど
問題は中身ですよね。
あまりにも私が長時間、厨に居るから幼馴染みとか竹中さまとか心配で見に来るけど
大丈夫あとは詰めるだけだから!!
壱の重には
黒豆、栗きんとん、白花豆に伊達巻き、田作り、数の子、紅白のかまぼこを交互に容れて
弐の重には
海老のうま煮、鶏ももの照り焼きに蟹のボイル、牛肉の八幡巻き、鮭の昆布巻き、梅酢花れんこん、紅白なますとたたきごぼうと松前漬け!
参の重には
筑前煮とたけのこ煮しめを大量に入れさせて頂きました!
ふはー・・・8人分だから量が半端じゃ無かったよ
大きめのお重作って貰って正解でした。
「市姫、随分豪華な料理だね」
「"おせち"っていうの、お正月に食べるのよ」
戦国時代だとおせち無いものね、大晦日用にはお蕎麦とお雑煮作りましたよ。あとお汁粉。
「市が斯様に料理が上手いと思わなかった」
「そうか?俺は食った事あるけど」
「三郎四郎ずりい」
はいはい、幼馴染はそこで喧嘩しないの。きちんと皆の分あるから。
「佐吉と慶松も、たくさん食べてね」
「あ、ああ」
「ヒヒ、市の食事は何故か食が進むワ」
お汁粉とお雑煮、お蕎麦を出して年越し準備完了
「うむ、蕎麦が美味い」
「本当!お出汁が効いてて美味しいわ」
わあい、お料理好きにはその言葉が一番嬉しいです
皆が無言で、夢中になって食べる姿に安堵した。
しかし佐吉って毎日私のご飯食べてるのに太らないな。
足りないのか?それともそう言う体質なのか?
筋肉はしっかり付いてるし羨ましいな!その細さ!
ご飯をたらふく食べて雑談してその日はチビッ子皆で一緒に寝ました。
明日から私は11歳になるなぁ、此処に生まれてもう11年か。
夢を見た、会社に出勤しようと慌てて仕度をし、父に急かされながら足元にすり寄ってきた猫を撫でて・・・
駅に向かう途中の歩道で信号無視のトラックに・・・っ!
「はぁ・・・はぁ・・・」
目を開けてがばりと起きたら、汗をかいてたのか魘されていたのか額から汗が頬を伝う
「新年早々、縁起悪い」
異変を察知したのか黒羽と雹牙が降りてきた