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闇に咲く華

第1章 幼少期


42

「貴様・・・何者だ・・・」

息も絶え絶えに言う彼の傷を、川の水で浸した手拭いで血を拭き取っていく

「市っていうの、あなたは?」
「・・・佐吉だ」

何か威嚇してくるにゃんこみたいだなと思いながらパパっと手当てをしちゃってます。

「尾張の姫君、お市様だ」
「姫だと?何故あの様な場所に居た」
「通りかかったら、声が聞こえて、つい」

身体が勝手に動きましたと正直に話したら、目が点になってますよ佐吉。

「お人良しが・・・」
「お人良し結構、市、ああいうの嫌いなの」

最後に包帯を巻いた所ではい、終了

「貴様は、薬師に詳しいのか?」
「ん、多少は」
「診て貰いたい奴が居る」

佐吉くん、初対面の私をそんな信用するもんなの?
診て貰いたいのって明らかに、私が探してるもう1人の子よね。

「雹牙」
「何だ・・・」

そう不貞腐れないでよ、さっきの暴言の事で機嫌悪いんでしょ?
黒羽と交代で、さっきの半兵衛さまに説明して。

「はぁ・・・分かった」

渋々だけど消えてった雹牙に佐吉が目を見開いて驚く

「忍だったのか」
「そ、市の大事なお兄さん」
「兄・・・か」

そういや君にもお兄さんが居たね。

「あの男は、私よりも色が白かったな、目も赤い」
「髪の毛と目?生まれつきだって」

綺麗な色でしょ?と言いながら少し笑ったら。佐吉も薄く笑った
ちょっとまってね、私は護衛が居ないまま1人でほっつき歩いてたら保護者が怒るんで。


「姫様、お呼びで。雹牙から事は伺いました」
「市の忍か?」
「うん、大事なお兄さん。佐吉の言う子の所にいこう?」
「分かった」

佐吉の後に続いて、寺のある場所に連れてってもらった。


「え、市姫がそんな事を?大丈夫かい雹牙君」
「いや、俺は平気だが・・・」
「大丈夫だよ、僕もそんな感じだったから」

そう言って竹中殿が自分の髪をつまむ。

「その、乱暴されてた男の子、どうしたの?雹牙さん」
「うむ」

心配そうなねね殿の言葉に豊臣殿が同意するが

「お市様が直ぐに保護し、手当てをしていた」
「そう、大丈夫なのね」
「それと、婆娑羅を所持してるそうだ」
「それは、市姫から?」
「ああ、質は高い。闇の婆娑羅者だ」
「その子の所に連れてってくれるかい?雹牙君」
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