第1章 幼少期
「竹中さまの治療は市がするから、兄さまから許可は頂いてます」
「大阪城に滞在する許可を、よく信長公が許したな・・・」
「無理矢理もぎ取っていたな」
「信長公、少々寂しそうでしたね」
「君ってば本当に・・・」
こら黒羽と雹牙。私の暴走を暴露しないで下さい
そうこう言っている内に寺に着き、まず住職に案内された部屋へと通された
ここに、あの2人が居るって情報は雹牙が持ってきている
「ちょっと、おさんぽしてくる」
「市姫、迷子にならない様にね」
そんな子供じゃないですよ・・・と思ったら子供でした。
イカン、思考がもう成人過ぎてるからたまに忘れる
黒羽には豊臣さまに付いて貰い、雹牙と寺の中をぶらぶらと歩いてたら
「・・・罵声?」
「の様だな」
雑音が無いから余計に聞こえる良くない雰囲気の声
その方向に向かって行くと段々声が大きくなり、気配は・・・6人程?
「お市様、行くな」
「雹牙?」
「貴女が見るモノではない」
睨む様に声の先を見る雹牙の背中を撫でて落ち着かせる。雹牙にはトラウマだったか
「市は大丈夫」
「だが「雹牙」・・・っ、分かった」
声の先には大きな蔵。つっかえ棒か何かで塞がれているのか少し引いても動かなかったので
バキィ
思い切り蹴破る。
「「「「「なっ」」」」」
目の前の光景に驚いた、5人の体格の良い寺の青年達のなかに1人、暴力を加えられていただろう1人の・・・銀髪の少年
「女?!何でここに」
「ふうん・・・貴方達」
集団で暴力を奮っていたわけね?この子を。佐吉を。
そして寺の住職は見て見ぬフリをしていたと。
「雹牙、動かないでね」
「お市様?」
婆娑羅を開放し全力でいじめっ子達を吹っ飛ばした。
「このうつけ共が・・・多勢で1人に暴力を振るうとは愚かの極みよ」
「ひ・・・ヒィ!」
「化け者!」
化け物、という言葉を吐かれた瞬間、蔵の中が凍った
「尾張の姫、お市様にその様な言葉・・・!子供だからとて聞き逃さぬ!!」
やば、雹牙がキレた。
急いで佐吉を婆娑羅で抱え、今にも子供達を殺しそうな雹牙の手を無理矢理引っ張って
寺の脇にある小川までトンズラさせて頂きました!
黒羽を連れて来れば良かったかも!?だめだ、あの言葉は2人共NGワードでした!