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闇に咲く華

第1章 幼少期


視界にチラリと見えた白い小さな粒に目を見開く

「あ、初雪?」
「いや・・・未だ時期が早いと思うが」

それもそうか、まだ季節は冬に差し掛かるけど初雪にゃ早い。

落ちてくる白い物を手に取ると、氷の様で手の温度でなかなか溶けない。
誰かの婆娑羅かなと思ってたら近くに人の気配

「でやあ!」
ズボッ
「わ」
「お市様!」

草むらから槍が突き出てきてビックリした。

「ああ、すまない!鍛錬してて気が付かなかった!大丈夫か?」

年は同じ頃の少年がにぱにぱとした笑顔で草むらから顔を出す

「こんな所で鍛錬か?」
「俺の婆娑羅で城を壊したくないからな!ここに鍛錬所を作ってもらったんだ」
「婆娑羅者?」

馬から降りて鍛錬所を見せてもらうと、わぁ・・・こりゃ城でやったら怒られるわ
一面が氷の塊で埋め尽くされてる

「凄いね」
「いや、まだまだ婆娑羅の制御が利かなくてこの有様だ」

ドーンとでっかい氷柱が出来て顔が引き攣った。
氷の婆娑羅の制御ねぇ・・・

「雹牙、何か助言できそう?」
「ふむ、人に教えた事はない・・・だが少し力み過ぎてるかもな」
「力み過ぎか・・・うむ、ちょっとやってみよう」

少年が再び槍を構え的に向かって槍を繰り出そうとした時に

「伊勢寿丸様!ここに居られましたか」
「高定?どうした?」
「此処の城下に織田の姫君がお泊りになるそうで、付きの者が触れに・・・貴女は?」

あら、見つかった。結構氷で見えないと思ったんだけどなあ

「先触れをしました、尾張の市です」
「もう来られてたのですね?伊勢寿丸様が無礼を働いてませんでしたか?」

何か高定さんがオカンの様に見えるんだけど。

「馬に乗ってる最中、そこの植木から槍が飛び出してきてな」
「伊勢寿丸様~~~?」
「すまない高定!この者に少し婆娑羅の制御の仕方を教わってな」
「?貴方は氷の婆娑羅者なのですか?」
「ああ、お市様の付きの雹牙と言う、伊勢寿丸殿は少し力み過ぎて力を無駄に放出してる感覚があってな。少し助言をしたまでだ」
「高定!助言通りにやってみるから見ていてくれ!」

小さい頃から槍を扱ってるのか、槍捌きは綺麗で槍を振るう度に雪の様に氷がキラキラと落ちてくる。

「でやっ」

伊勢寿丸さまの最後の一撃で氷が放たれたが

「む、まだ少し大きいな」
「もう少し婆娑羅の力を抑えてみろ」
「こうか?」
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