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【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第6章 謎の少年




「個性使用許可証。俺は……というか俺たちは、自衛目的に限り公道および無許可私有地での個性使用を許されてる」
「こせいしよう、きょかしょう」


 出久は幼子のように翔の言葉を繰り返した。個性使用許可証。ここからでは遠くて読みづらいが、確かに翔が掲げているカードにはそのような文字が印刷されている。知らない単語ではない。出久を含む雄英ヒーロー科の生徒達が、2年時に受ける仮免試験に合格した際に取得できるヒーローの「仮免許」も、そういう類のものだったはずだ。


 だが翔が持っている許可証は当然、仮免許などではないだろう。彼は自衛目的に限り、とも言った。いったいどういう意味なのか。


 翔は下を向いたまま、ちらりと盗み見るように出久を見た。彼も出久に勝るとも劣らず気まずさを感じているようだ。


「緑谷は、何で……」
「知りたかったんでしょ?」


 また少女が翔の発言に被せるように言った。このままでは話が進展しないと痺れを切らしたのかも知れない。


「不安も疑いもこのままにはしておけないから、自分から行動に出た。そんなとこでしょ? なかなかアクティブだよね。見た目は地味なのに」


 軽口のように言われ、「え、や、その」と馬鹿みたいな反応しかできない。図星だ。


「お呼び立てする前に、あっちから先に来てくれた。難しく考える必要はないんじゃないの、翔」


 少女は翔のいる方に首を傾けて言う。翔はそれには答えず、眉根を寄せた表情のまま乗りかかっている筋肉男の胸から地面に降りた。


「おい、待てよ。こんな急に……ってか、凪人に何も話してねーじゃん。こいつが信じられるヤツかどうかもわかんねーし。いきなりはさすがにまずいって」


 神妙に考えている様子の翔に、少年が咎めるように言った。どうやら少女は翔に何かを促していて、少年はそれに反対しているようだ。

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