第3章 これからコラボ配信します私!
「レナがメインの配信だから、俺はゲストってことでいいな?」
「今更だけど渉くんのファンがめちゃめちゃくるんだよね… ちょっと怖い。」
「いや、俺呟かないから大丈夫だろ。
(仲間内は来るかもしれないけど)」
レナからの相談があったあの日、食事をしつつ生放送での注意点やうらたぬきとしてやっていることを彼女に伝授した浦田。
彼女はどうやら臨機応変に判断することが苦手で、事前に対応を準備してしまうところがあり正直面白みに欠けると彼は指摘する。
その他にもいくつか気になったことを指摘し、当日彼女なりにどうやるのか浦田も楽しみにしてるらしい。
日にちを改め、コラボ配信当日。
レナの部屋の機材を使わないと練習にならないため、一人暮らしの夜という時間だが浦田は彼女の部屋へとやって来た。
当の彼女は浦田を兄のように慕っているため、部屋に招くことも時間が遅いことも特に気にした様子はない。
信用されて嬉しいような、複雑な心境な浦田なのだった。
「機材の準備は大丈夫だな」
「多分大丈夫、前回も放送は出来てたから」
「決まりきった挨拶とかはメモ見ていいから、ちゃんとお前から始めるんだぞ」
「は、はい… !」
明らか緊張を隠せていないレナの頭を、ぽんぽんと撫でる浦田。
その優しさに少しだが肩の力が抜ける感覚がしたのか、まだぎこちないが微笑むレナ。
「頑張れよー、配信が無事に終わったら渉お兄さんからプレゼントがあるからなー」
「え? プレゼント?」
配信直前にそんなことを言うものだから、気になって仕方がない。
しかし配信時間まで1分切っているためセッティングに集中しなければならないレナ。
しかも無事に終わらなかったら、そのプレゼントはわからないままになりそうなのでそうならないためにも今は生放送のことだけを考えることに切り替えた。
「皆さん、こんばんは!
レナの生放送第2回スタートです!」
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