第2章 これが今の私
「あのさ」
やっと口を開いた渉くんの言葉はとてもゆっくりで、私はそのうち紡がれるであろう次の言葉を待つことにした。
その間も「いや、でもなー」「うーん」と何か渋っているような、躊躇っているような発言をする渉くん。
真剣に向き合ってくれてることに嬉しさを感じつつ、かなり前に空っぽになった渉くんの飲み物を注文してあげようと店員さんを呼んだ。
私が勝手に彼用にコーヒーを頼み、彼の前に置かれたコーヒーを無意識なのだろうか一口飲む渉くん。
彼のために注文したものだから飲んでくれていいんだけどね、ツッコミなしですか。
それとも注文したことに気づいていた?
まさかね。
「はぁ… まぁ何事も挑戦か」
「渉くん?」
「わかった!俺とコラボするか」
「え、コラボ? えええぇぇぇぇぇーーっ!?」
まさかまさかの渉くんとコラボ配信?!
それは色々大丈夫なんですか? と問いたい所なんだけど、渉くんが既に何やら計画を立て始めている気がする。
手帳を開いて、これ日程確認してるよね?
でも正直嬉しい気持ちが先立って…
「レナ、にやにやしてるぞ。
そんなに俺とのコラボが嬉しいのか?」
「そ、それは… 嬉しいに決まってるじゃん」
「正直で少し驚いたわ」
そう言って渉くんは私の頭を撫でる。
この瞬間渉くんもやっぱり男の人なんだなって思う。
渉くんの大きな手で撫でてくれる温もりが私は好き。
渉くんってやっぱりお兄ちゃんみたい。
「今お兄ちゃんみたいとか思っただろう?」
「あ、心読まれてる… 」
「俺にはテレパシーという能力が… 」
「いきなり厨二病発動ですか!」
いきなりの出来事に驚きも驚きですが、これはこれで一歩前進な気がする。
渉くんのスキルしっかり盗まなきゃ!
あ、厨二病にはなりたくない、かな(笑)
つづく