第7章 わたしの舞台は何処に
部屋に流れる静寂。
聴こえるのは時計の針の音と、
自分の心臓の音だけ。
どきどきするよ…
渉くんの言葉に私は逃げているのだと知った。
誰にでもあるトラウマに私は今だに恐怖を感じていて、それは何も解決はしていない。
もちろん、まだ怖い。
人付き合いだっていつも作り笑顔で、偽りの私が対応している。
唯一、本当の私を知っているのは昔の私を知っている渉くんだけだろう。
簡単に越えられないのはわかってる。
だから、今の私に出来る一歩を踏み出そうと思い、あの人に相談をしたいと思った。
私より過酷な体験をしている彼に会えたなら、こんな私のトラウマがいかに低い壁なのか思い知れる気がしたから。
ピコン
「!!」
ずっと連絡出来ずにいた。
私なんかが雲の上の存在いわば神のような人とお話していいのか…
そしてどうしても怖かったのは、もし勇気を出して連絡して返事がなかった時や拒否された時…
けれど、彼がそんな薄情な人じゃないことくらい知っていたはずなんだ。
”こんにちは、まふまふです!
もちろん覚えています(* ॑꒳ ॑* )
動画も毎回観てますよ〜
仕事がちょうど一区切りついたので
夜ご飯、一緒にどうですか?? ”
安心したと同時に心臓がばくばくです!!
まふくんに食事に誘われるなんて、私今日命日かもしれない!!
まふくんリスナーごめん、先に逝くわ。
正直、会うことはないと思っていた。
通話でもメールでもまふくんの意見を聞かせて貰えたら最高に有難かったし、こうして覚えていてもらえたことに心底感動している。
今は、甘えてもいいですか…?
あなたの優しさが渉くんの妹だからなのだとしても、今は、今だけは… 縋らせてください。
いつかあなたのように乗り越えてみせますから。
つづく