第7章 わたしの舞台は何処に
「記念祭?
あぁ、もうそんな時期かー」
「そうそう、ライブ会場は争奪戦だよー」
私と一緒にランチをしているのは、最近ではご登場回数ナンバーワンのうらたさんこと渉くん。
前回は不意打ちだったけど、今回は私がお誘いして忙しい渉くんの仕事場付近でのイタリアンです。
ちなみにもうあれから2ヶ月が過ぎました。
毎週何かしらの投稿をし生放送も定期化している私レナですが、大学ではなにかよくわからない記念祭の出し物について話題は持ち切りなので、最近の話題と言われるとその話になります。
そういえば、渉くん経由で坂田さんと会うことも何度かありライン交換をさせてもらい、ライン内ではとても気さくに話せるお兄ちゃんとなりました。
ライン交換といえば、まふくんとそらるさんとはあれから一度も連絡を取っていません。
もちろんお話したいのはやまやまなんだけど、なんてラインを送ればいいのか悩みに悩み結果踏み出せないまま時間だけが経過していきました。
一度でも対面し、お話出来たことが奇跡だったのだからこれが本来の在り方なんだと思う。
そう、だってあの二人は雲の上の存在。
この地面に立っているだけで精一杯な私には手を伸ばしても届くことのない、見えない存在なんだよ。
「お前ライブやらないの?」
「は?!」
「そんだけ歌って踊ってて、そういう場があるのに披露しないわけ?」
そんなこと考えたこともなかった。
ボカロの歌ってみたや踊ってみたでステージに立つ人たちがたくさんいることは知っているのに、もちろん私の目の前にいる渉くんだってその一人なのに、そこに自分が加わる想像は何故か出来なかった。
たくさんの人に見られる…
それが私には、まだ怖いんだ。
「ま、無理することじゃないな、うん」
「… 前に、進めるかな…? 」
「それはレナ次第だろうな」
「… 考えてみる」
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