第5章 【現パロシリーズ】cup of tea【物間寧人】
ひょいと横抱きにされたまま唇を重ねる
沈んだベッドは柔らかい
一瞬目と目が合った
こんな時になっても、食えないのね…
何を考えてるか、幾重にも重ねられたフィルターの向こうにいるような彼の本質。
絶対触れることは出来なさそうな気高さ。
たまらない
『ぁあ…』
首筋に降りてきた舌先に声が溢れた。
キスだけで本当は、もう何度かイってしまっていたと思う。
濃いグリーンのペンシルスカートがチャック音と共に脱がされて右足にまとわりついた
ブラウスはボタンが1つ1つ外されていく
その間はキスをしてくれなくて
何も言わないまま私の瞳を見つめていた
もう彼の口元には笑顔はない。
下着だけにされた私は真っ白なシーツの上で
緊張のせいで置物みたいに身動きが取れなくなる。
濃紺の下着は、年相応。
おばさん臭いと思われただろうか
何も言わずに私を視姦する物間くんに聞くことはできなかったけれど、その後すぐかけられた言葉に目を丸くする。
「…綺麗だね」
この部屋に入って最初の一言がその言葉で、私の体は熱くなった。
綺麗なはずないのに
あなたの周りにいる、20歳前後の女の子達に比べたら私の体なんて5年分劣化している。
でも、お世辞でも嬉しい。
こんなに素敵な男の子に言われた言葉だ、宝石みたいにキラキラ私を飾ってくれるみたいに感じた
綺麗な指先が、私の髪を耳にかける。
そのまま耳の裏を撫でた
まるで子猫にするみたいな仕草
目の前にある物間くんの体に擦り寄ってしまう。
思ったより鍛えられている肉体はあったかい
ねぇ、私のこと、馬鹿な女だって思ってるんでしょう?
結婚しているのにフラフラあなたに付いてきて。
物間くんは、こんな私にでも優しく愛撫をしてくれた。
大きな手に包み込まれた胸の中で心臓がはねている。