第22章 So Cute!【ヴィラン連合の場合】
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【死柄木弔の場合】
「かわいい…」
口をついて出た言葉は、今まで1度も口にしたことのない言葉だった。
指の隙間から見える、何の変哲もない少女。
かわいい、かわいい、ただただかわいい。
うん、かわいい。
にしても、よく見えなくて邪魔だな…あぁ、「お父さん」が邪魔なのか、外そう。
お父さんを外してみると更にかわいい。
かわいいがダイレクトアタック。
近くで見ようと近づくと、怖がってこちらを見るから、なるべく笑顔を作って顔をのぞきこんだら、泣かれた。
「おい、黒霧…泣かせるな」
「いや、今のは死柄木弔が…」
「うるさい」
「今の間に。子供が1人逃げたようです…教師達も来るでしょう…どうしますか?」
俺はバリバリと首をかきむしる
「かわいい子供が居るなんて予想外だ…ゲームオーバーだ…
なら…せめて、この子供を連れて帰るか…」
俺がそういうと、黒霧は両腕を振った。
「ダメです、私の体の中は暗闇…怖がってしまいますよ!」
『暗いの…こわい…』
「チッ…なら、歩いて…」
そういったところで、ドアが激しく開き、
オールマイトが、現れた。
「私が来……かわいい!」
オールマイトは険しい顔のままこちらを睨みつけ、脳無に飛びかかり、何度も殴り掛かる。
「君のかわいさには、慣れたつもりだったが…いや、やっぱりかわいいな!」
「くそ…オールマイト…」
オールマイトの登場に、ほかの教師陣たちも続々とUSJ内に入ってくる。
俺のの体を何弾かの弾が撃ち抜いた。
「ちッ!危ねぇな…この子供に当たったらどうすんだ…!」
「死柄木弔…!ここは引きましょう!」
黒霧のモヤに包まれ、視界から徐々に子供が消えていく…
アジトのバーの床に広がっていく血痕。
「…脳無もやられた
手下共は瞬殺だ・・・子どももかわいかった・・・・・・!
せんせぇ!どうなってんだ!」
«かわいい…?»
テレビ画面にはsound onlyと書かれている。
俺は黒霧と目を合わせることしか出来なかった。