第22章 So Cute!【ヴィラン連合の場合】
かわいい彼女は、鳥籠の意味がなくなったことを他の生徒が気がついたのか、籠の外に出されました。
そのとき、遠くから死柄木弔に急かされる声がします。
計画通りに進むのであれば、本来とっくの昔に生徒達をチリジリバラバラに各ポイントへと飛ばしている頃ですから、苛立つのも仕方ないでしょう。
ですが、ここに来て完全なる予定外
こんなに可愛い子供が居るなど聞いていない。
とはいえ、この可愛さを表現する語彙力を私は持ち合わせていませんでした。
「で、ですが、死柄木弔…」
「もういい!そっちに行く!」
死柄木弔は起こった様子で
こちらに歩み寄ってきます…。
(もし、死柄木弔が彼女を見て、壊してしまうようなことがあれば…)
そう思うとゾッとした、彼女だけでも屋外にワープさせてあげたい…
けれど、彼女を私のワープゲートに入れてしまえば、暗くて怖がるだろう。
それも可哀想で出来ない…
悩んでいるあいだに、「黒霧!」と私を呼ぶ声は近くなり、私は、モヤを彼女に伸ばそうとしたのですが。
「かわいい…」
そう呟いたのは、死柄木弔。
「これ、邪魔だな…」と外した顔につけている手は、いつも「お父さん」と呼んで大切にしている部位なはずだが、投げ捨てるように床に置いて、ゆらゆらと少女に近寄ってきました。
「なんだ…この子供…かわいい…かわいいぞ…」
「か゛わ゛い゛い゛」
薬のせいで意思がないはずの脳無までもが呟く。喋れたんですね。
脳が剥き出しの、ムキムキの巨体が怖かったのか、少女はビクッと体を震わせると、
脳無はしゅん、として身体を縮めてしまいました。
(ヴィランがゆりなに集中してる隙に、先生を呼んでこい!)
瀬呂範太が、飯田に耳打ちすると、飯田は静かにドアを抜けて猛ダッシュで本校舎へと走った