第16章 【夜ｼﾘｰｽﾞ】イロコイ【上鳴電気】

会社のデスク下で、本日何度目か分からないスマホチェックをする。



昨日変えたばかりのネイルでタッチするのは、LINE画面。
電波が立ってさえいなければ、届いてないだけだって思えるのに、WiFiの電波は良好…。




それがやけに嫌味ったらしく感じる。



スマホをポケットに滑り込ませて、またパソコンに向かった。
遊んでばかりもいられない



働かなきゃ。

働いて、稼いで。
彼に会いに行かなきゃ…。

そう思ってエンターキーを強く叩くと、経理室の視線が一心に私に集まった。

『…すみません』
小さく呟くと、次々に剥がれていく視線。

と、同時に小さく震えるスマートフォン。

震えるが先か、私の手が先か
すぐにポケットから取り出して、LINEを叩くと、

やっぱり！
電気から連絡が来ている。


連打でトークルームを開けば｢たすけて｣の4文字が送られてきていた。