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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第2章 二ブル山、敵か味方か


意外にも、ヴィンセントはチームワークに長けていた。
決してクラウドやリオの動きを遮ることなく、的確に敵の数を減らしていく。
しかも、判断が速い。二人の死角から接近する敵、手負いの敵、状況に合わせて最善の一手を瞬時に選択する。
すぐに、クラウドもリオも、殆ど目の前の敵だけに集中できるようになった。
「ふぅ、」
最後の敵に強烈な鞭を加えて倒し、リオがヴィンセントを振り返る。彼は銃をホルスターに収めたところだった。
「ヴィンセント、上手いね。僕、複数で戦うのって慣れてないけど、すごく戦いやすい」
「俺もそう思った」
クラウドも神妙に頷く。
「…そうか」
無感動に、呟くようにヴィンセントは応じただけだった。
クラウドは肩を竦めたが、ヴィンセントはリオを観察していた。その戦い方を、読み取ろうとしていた。
実際、トリッキーな戦い方をするのは、どちらかと言えばリオの方だった。
しなやかに鞭を振るったかと思えば、気紛れのように魔法を放つ。
しかしその動きは不自然さを感じさせるようなものではなく、寧ろ、彼自身の感覚のままに、自由に行動しているようだった。
まるで、
(舞っているようなーー)
並外れて美しい容姿が、そう感じさせるのだろうか?
ヴィンセントはリオから目を逸らし、微かな溜め息を洩らした。

* * *

山頂の魔晄炉付近に到達した時だった。
「出た…!」
地響きがし、構えた三人の前に、巨体のモンスターが姿を現した。ドラゴンだ。
真っ先に反応したクラウドが、全力で斬り掛かる。
五年前の記憶が脳裏を過った。
(セフィロス…!)
当然、一撃で倒せるような相手ではない。
三人とも全力で掛かるが、敵も死に物狂いだ。
ドラゴンが吐く火炎の息に、リオが回復魔法を被せて三人はなんとか持ち堪える。リオはそのまま回復に専念する。そうでなければとても命が繋がらない。
ヴィンセントが魔法を乱打し、クラウドが剣撃を浴びせ続けて、漸く緑色の巨体が地に伏した。辺りが揺れた。
「はあっ、はぁ、」
三人の内ではまだ軽傷なリオは、それでも呼吸を荒げて背を樹木に凭れさせた。
(使い過ぎたな…渇いた……)
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