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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第1章 ニブルヘイム、新参の二人


「実験を中止させることができなかった。彼女に思いとどまらせることができなかった。それが私の犯した罪だ。愛する…いや尊敬する女性を恐ろしい目にあわせてしまった」
ヴィンセントは語り、目を伏せた。
クラウドとティファは顔を見合わせる。
「その償いが、眠ること??」
「暗…黴くさ……」
リオのぼやきが宙に浮いた。
「眠らせてくれ……」
ヴィンセントは棺に戻り、その蓋はまた閉じられた。
三人は再び顔を見合わせる。
「…行くか?」
「そうね…」
「鍵は開けてあげたんだし、その気になれば自分で外に出るよ。それよりさー……、」
自分の唇に人差し指を当てて、リオがニッコリと二人に笑い掛ける。中性的なのに妙に色気を感じさせる笑顔に、ティファは少しどぎまぎし、クラウドは何かを堪えるようにぐっと唇を引き結んだ。
「…僕も一緒に行っていい? クラウドやティファ達と。一人旅って、けっこう物騒でさ。こないだも、ちょっと怖い思いして…」
そう言って少し伏せた眼差しが、華奢な容姿と相俟って、ひどく儚げに見えた。庇護欲を掻き立てられる、というのはこういうことだろうか。
「いいわよね、クラウド!」
「あ、ああ」
「わーい、ありがとう、ティファ、クラウド!」
ぱっと花が咲いたようなリオの笑顔に、ティファは笑顔で頷きながら少し赤くなり、クラウドは片手で口許を覆って顔を背けた。耳が赤い。

そして三人が戻る為に岩壁の通路を少し歩いた頃。
「まて!」
振り返ると、先程の赤マント、もとい、ヴィンセントと名乗った男。
「あ、さっそく出て来たんだ…」
リオが呟く。
ぱちぱちと瞬きをする三人を、ヴィンセントが見回す。
「おまえたちについて行けば、宝条に会えるのか?」
「宝条もセフィロスを追っているとなれば、いずれは…」
クラウドが腕組みをし、代表して答えた。
ヴィンセントはまたその名を呟く。
「ルクレツィア………よし、わかった。おまえたちについていくことにしよう」
「えっ」
ティファが思わず声を出し、クラウドも、そんな勝手に、と言い掛ける。
「元タークスということで何かと力にもなれると思うが…」
控えめなようで憮然と食い下がるヴィンセントに、不意にリオが噴き出した。くすくすと可笑しそうな笑い声に、クラウドもティファも僅かに力が抜ける。
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