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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第1章 ニブルヘイム、新参の二人


* * *
「セフィロスは5年前に自分の出生の秘密を知ったのだな? ジェノバ・プロジェクトの事を? ……以来、行方不明だったが最近姿を現した。多くの人々の命を奪いながら、約束の地を探している、と」
赤マントの男はクラウドの話をなぞり、そして黙り込んだ。
「今度はあんたが話す番だ」
クラウドが促す。
「悪いが……話せない」
リオの片眉が跳ね上がり、ティファがまあまあとジェスチャーで宥める。
「君たちの話を聞いたことで、私の罪はまた一つ増えてしまった。これまで以上の悪夢が、私を迎えてくれるだろう。……さあ、行ってくれ」
男は一方的に会話を打ち切ると、呆れる一行を尻目に、棺桶へ戻ってしまった。男に引き寄せられた蓋が、ぱたん、と閉まった。
「……… ……… ………」
三人は輪になり、視線だけを交わし合って、無言の相談をする。
ややあって、溜め息を吐いたクラウドが、棺桶の蓋をノックした。
律儀にも蓋が開き、男が半身を起こす。
「……まだいたのか」
「あんた、何者だ? 名前くらい教えろ」
三対の目に見詰められ、男は面倒そうに棺から出る。
「私は…元神羅製作所総務部調査課、通称タークスの……ヴィンセントだ」
「タークス?!」
クラウドとティファが気色ばんだ。
タークスはエアリスの身を付け狙う、謂わば敵である。
「元タークスだ。今は神羅とは関係ない。……ところで君は?」
男はここに至って漸く、目の前の人間に興味を示した。クラウドの服装、ソルジャーの制服が気になるようだ。
「元ソルジャーのクラウドだ」
「君も元神羅か…。ではルクレツィアを知っているか?」
「誰だって?」
「………ルクレツィア」
ヴィンセントは丁寧にその名前を呼び、そして三人に告げた。
「セフィロスを生んだ女性だ」
クラウドとティファが、えっ、と声を揃える。
「うんだ? セフィロスの母親はジェノバではないのか?」
「…それは…間違いではないがひとつの喩えなのだ。実際には美しい女性から生まれた。その女性がルクレツィア。ジェノバ・プロジェクト責任者ガスト博士の助手。美しい……ルクレツィア」
「…………人体実験?」
また遠くを見始めたヴィンセントに、何があった、とクラウドが辛抱強く問いを繰り返す。
リオは後れ毛を指に絡ませながら、大人しく三人のやり取りを聴いている。
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