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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第6章 幕間 エアリス


「………そうね…、」
エアリスは僅かに頷いた。

ヴィンセントは大人の男だ。
落ち着いていて、包容力がある。
危なっかしいリオのパートナーとしては悪くない。

"寝た"、というのは驚きだけど……。


「有り、かもね」
リオの頭を優しく撫でる。
うん、と嬉しそうに応えて、少年は心地好さそうに目を細めた。
軽く結っていただけの銀髪を解き、
「また髪、やってくれる? ヴィンセントが見惚れるようなやつ」
「ふふ、いいよ」
リオは美しい少年だ。
耀くような長い銀髪も、何もしなくても映えるのだ。
だが、エアリスはリオの髪を編んだり、結ってやったりするのが好きだった。


ーー小さかった頃、おかあさんが、してくれたっけ…。


優しい手付きで、エアリスは銀糸を編んでゆく。
「…ねえ、リオ? ヴィンセントのこと、好きなの?」
問うと、
「エアリスと同じくらい好きだよ」
あっさりとそう言ってしまうリオに、エアリスは胸を痛める。
この子は恋とか愛とかいう前に、他者と身体を繋いでしまうのだ。
だが、それはエアリスの感覚と異なるというだけで。
結果の方が、リオには必要なのだろう。
それは食べたり眠ったりするのと同じように、彼が生きるのに必然なのだ。


わたしに、星の声がきこえるように。


「……ねえ、リオ。わたしね、あなたにも、星の声が聞こえてるんじゃないかって思う時があるの」
うーん、とリオが細い首を傾げる。
編まずに垂らした髪の一房が、さらりと肩を撫でた。
「声…みたいのは、聞こえない…かな。でも、空気? っていうか……星の脈拍っていうか、波動、みたいな……感じる」
「波動?」
リオは頷いた。
「魔法は、そこから引き出すみたいにして、使えるんだ。うまく説明出来ないけど…」

「んー、今朝は…」
リオは言った。
「落ち着かない、感じ」

エアリスの手が止まる。

「だよね? エアリスも、感じてる…、聞こえてる、んだね」

指先が、震えた。

「なんかさ……こういう感覚、他の人はわからないみたいだから。寂しかったから、エアリスが居てくれて、良かった」


温かく潤む視界の中で、リオが甘えるような笑顔を見せた。
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