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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第5章 ゴールドソーサー、夢の守り人


ヴィンセントが一人で部屋へ引き揚げるのを目で追い、
「………んなこと…言われても……」
リオは組んでいた脚を下ろし、ローテーブルから水滴に濡れたグラスを取り上げ、底に僅かに残っていたジンジャエールを啜った。氷が融けて殆ど水だ。
「……マズ、」
ぺろり、と唇を舐めたところへ、
「ねえ、君、一人?」
「俺らと遊ばない? 奢るよ」
二人連れの男が声を掛けてきた。
暫く前からリオをちらちらと見ていた男達で、そろそろ来るだろうと思っていた。リオも先程までそれを待っていたのだ。
だが…。
「うーん……ごめんね、彼氏が待ってるんだ」
席を立ち、ジャケットの襟元を合わせる。
「いやいや、大丈夫でしょ」
「ゼッタイ、後悔させないって! いいじゃん! ね? ね?」
男達は食い下がり、一人がリオの左腕を掴んだ。
続いてもう一人が右肩に手を乗せ、リオは舌打ちした。
「だから、ごめんて言ってんじゃん」
右足を後ろに蹴り上げ、肩に手を乗せた男の股間にヒットさせる。
もう一人に掴まれた左腕をその男の腕の外側へ素早く捻り下ろすと、イテテテテテ、と悲鳴が上がって外れた。
そのまま距離を取り鞭で床を叩き牽制すると、二人は戦意喪失した。
「んだよ、クッソ! 誘っといてよ!」
「痛てぇ、まじ痛てぇ、酷ぇ、」
それぞれ右腕と股間を押さえて文句を言いながらホテルを出て行く二人に、
「…ごめん……」
リオは呟くと鞭をしまった。
ラウンジは少しざわついていたが、シドは相変わらず爆睡している。
そのポケットに手を滑らせてヴィンセントと同室の部屋の鍵を取ると、代わりにナナキと同室の自分の部屋の鍵を返してやり、リオは客室階への階段を上った。

* * *

音を立てずにヴィンセントの部屋へ滑り込んだリオは、自分が何をしようとしているのかまだ分からずにいた。
(……何やってんだろ、僕…)
でも、別に、シドに部屋を代わってもらったと言えばいい。
そうだ、ヴィンセントと話したいことがあって、とか。
(話したいこと……なんだろ……さっきの続きとか?)
ここへ来た目的を自分の中に探しつつ、同時にヴィンセントへの言い訳を組み立ててゆく。
入り口からそっと中の気配を伺うと、微かな呻き声が聴こえた気がして、そちらに気が取られた。
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