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【FF7 ヴィンセント BL】星の旅

第5章 ゴールドソーサー、夢の守り人


思わぬ遠回りをしたクラウド一行は、その後、ゴンガガエリアの岬に建つ小屋で、思いがけず、古代種の神殿に纏わる情報を得た。
キーストーン。
神殿の鍵と言い伝えられる不思議な石を、これまた意外な場所、ゴールドソーサーで首尾よく入手したまでは良かったのだが。

「ロープウェイの故障とはね…」
「仕方ないな…」
ゴールドソーサーに足止めを食らった一行は、ケット・シーの顔利きでゴーストホテルに泊まることになった。

その夜。
これまでの旅の内容を話し合ううち、仲間たちはそれぞれに思うところがあり、一人、また一人とラウンジを後にして部屋へと引き揚げていった。
そんな中、ラウンジのソファで爆睡しているシドを除いて、最後まで残っている少年が、ヴィンセントは気になった。
一人掛けのソファに華奢な躰を預け、ショートパンツから伸びる脚を組んでいる。肩に解いた銀髪を、所在無げに指先にくるくると絡ませて、半開きの紅い唇は物憂げに何かを考えているのか、待っているのか。寛いだジャケットから覗く頸や、脚の白さが、ラウンジに居る他の客の視線をちらちらと集めている。
ヴィンセントは逡巡の末、声を掛けた。
「……リオ、」
「ヴィンセント。なに?」
あっさりと見せる笑顔が甘く、人懐っこい。
「……寝ないのか、」
「ん、そのうちね…」
ゆっくり瞬きして、ふと周囲へ向ける銀色の睛。
何を待っているのだろうか。
「リオ、」
「ん、なに?」
「ウータイでの…ことだが」
リオが首を傾げる。
「コルネオに……人質になっただろう」
ああ、あれ、と返しながら、リオはヴィンセントの話の行き先を探した。
「ふふっ、もう少しで心中させられるとこだった。僕の足にぶら下がってたあいつを撃ち落としてくれたの、ヴィンセントだよね。…ありがと、さすが、護衛さん」
そう言って笑ってみせたが、ヴィンセントが微妙な表情をしていて、あれ、と思った。
「ああいう手合いに、簡単に身体を預けるべきではない。おまえは、もっと………自分を、大事にした方がいい」
自分を大事になどと月並みな台詞が己の口から出て、ヴィンセントは思わず眉を顰めた。しかし、他に言葉が見つからなかったので仕方がない。
リオを見ると、ぽかんとした顔でヴィンセントを見詰めていて、居た堪れず、咳払いをして話を切り上げた。
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